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彼らは本当に中国人!? 他人を信用することに不安のない中国の「Z世代」



2021年01月20日 公開

中島恵


上海市にある「マンフー」の自動販売機(著者撮影)

「中身を見ないで購入する」「アプリで知り合った見ず知らずの人を簡単に信用してしまう」……これまでの中国人には決してみられなかった傾向が、中国のZ世代(1995年以降に生まれた若者)にはみられるという。世代による中国人の大きな変化は、なぜ生まれたのか?

※本稿は中島恵『中国人のお金の使い道』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

中身を見ないで購入するという新たな傾向

中国人の若者は自分が「欲しい」と思ったものには、際限なくお金をつぎ込んでしまう傾向がある。物欲がとても強く、自分の感情に歯止めがきかないところがある。

購入するものはさまざまだが、趣味に関するものが多いようだ。ブランドものや高級品も大好きだが、そればかりではなく、自分がとことん好きになったものなら、周囲の目を気にせず、何でも手に入れようとする。

上海に住む若者も「ブーツが大好きで、ブーツだけで50足くらい集めていて、部屋の中はブーツだらけ」と話していた。

東京・飯田橋に本社があるトレンドExpress社の『中国トレンドExpress』編集長の森下智史氏に、中国のZ世代について話を聞いた。

森下氏が驚いたのは「中身を見ないで購入するという、これまでの中国人には決して見られなかった傾向がこの世代にはあること」だ。

その一つが「マンフー」を買うこと。「マンフー」とは中国語で、ブラインドボックスと訳されることが多い。日本では「箱入りのガチャガチャのようなもの」と説明するとわかりやすいだろう。

中に何が入っているかわからない「お楽しみ箱」で、価格は20元(約300円)~100元(約1500円)くらい。購入して箱を開けなければ中身はわからない。

箱に入っているのは特定キャラクターに複数のデザインの商品があるシリーズ物が多く、どんなデザインかはわからない。

自分が好きなデザインではなかったり、持っているものと重複する可能性もあるが、それでも彼らは購入することをためらわないそうだ。

そのため、転売することもあるが、そもそも、自分の求めるものと異なるかもしれないオモチャを躊躇なく買う、という行動に、私も驚かされた。

なぜ驚いたのかというと、かつての中国人ならば、自分がバカを見るかもしれない(騙されるかもしれない)商品は決して買わないし、そのような行動は絶対に取らないからだ。

 

用心深い行動を取るのが当たり前だったが……

思い出したのは、わずか5年前のこと。「爆買い」ブームといわれた2015年、東京・秋葉原の家電量販店の店内で、箱に入った新品の電気炊飯器を前にして、大勢の中国人が何か大声でしゃべっているところに偶然通りかかった。

「この炊飯器にちょっと水とコメを入れて炊いてみてくれ。不良品かどうか確かめたいんだ。確かめてからでなければ、いくら日本製でも買わないよ」

「おお、そうだ。そうしてくれ」

炊飯器売り場には箱に入った新品の電気炊飯器が何個も積み上げられていたが、中国人観光客は、封がしてある箱を一つひとつ開けて、このように叫んでいた。

箱の中に"ホンモノ"の炊飯器がちゃんと入っているか、それが実際に使い物になるのかどうか、買う前に確かめたいと訴えていたのだ。

日本人の店員は困り果て、通訳に「大丈夫ですから」「これは商品です。この場でおコメを炊くことはできません」と一生懸命説明していた。

しかし、中国人にとっては、たとえ店先だろうが、どこだろうが、そうした行動を取るのは「当たり前」のことだった。

中国国内でも同じようにして商品を自分の目で確かめてきたからだ。そうでなければ、中国では店員に騙されてしまう可能性が十分あるし、ニセモノが売られているかもしれない。買った炊飯器が1日で壊れてしまったら大変だ。

私は思わず苦笑してしまったが、日本の家電量販店の店員は、最初のうち、中国人観光客が取ったそのような行動に面食らったことだろう。

実は、逆のパターンで私自身にも身に覚えがある。中国に行った際は、日本では取ったことがない行動を取ることだ。

自分が意識しているのは、リムジンバスやタクシーに自分の荷物を積み込むときだ。運転手に荷物を手渡すと、さっさと乗り込んでしまう人がいるが、私は絶対にそうしない。

自分の荷物が無事にバスの収納庫やタクシーの後部に置かれたかどうか、自分の目で最まで見届けてから座席に乗り込むようにしていた。中国で痛い目に遭わないために、自然と身についた習慣だ。

ところが、「爆買い」からわずか5年。爆買いしていた人々の多くは内陸部出身の団体観光客が多かったので、年齢も出身地も異なるとはいえ、Z世代の若者たちは、そのような「中国人的な用心深い行動」を取らないどころか、箱の中身を確かめることすらしないで商品を購入するという。

「自分は騙されることなどない」と思い込んでいるのか、あるいは「100元くらいのものだし、別に騙されたっていい」と思っているのか、あるいはそんなことは想像すらしてみたこともないのか……。

その"無防備さ"や"無邪気さ"は、それまでの世代の中国人から見たら「あり得ない」行動だ。

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