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生き方

元幹部自衛官が体得した「人間関係のモヤモヤ」との上手な付き合い方

ぱやぱやくん(元幹部自衛官)

2022年10月04日 公開

 

自分は自分、他人は他人

心の雨における原因のほとんどが、人間関係に由来するものだと私は考えています。幸せになるためには、人間関係の改善を避けては通れません。人間関係における傘についても解説しておきます。

私自身、防大や陸上自衛隊、民間企業でさんざん、クセがあり、面倒くさい人たちに出会ってきました。Twitterでもひどいコメントを書かれているので、人間関係の恐ろしさは人並みにはわかっているつもりです。

自衛官時代も管理職として、人間関係に非常に苦労した思い出があります。私はクセの強い人たちに気を揉んでいた時期があり、「どうして、自分のことをわかってくれないのだろう」と嘆きながら休日を過ごしたこともあります。

ただ、ある日思ったのは「他人と自分は違う」ということでした。当然の話ではありますが、これは自分の人生を懸命に生きている人ほど忘れがちな事実なので、声を大にして言いたいと思います。

たとえ自分が良かれと思って取った行動でも、「人気取りのムカつく行為」と判断する人は絶対にいるのです。

ここでいくらあなたがそう評価する相手に弁明しても、事態は悪化するだけです。「言い訳がましいヤツ」とさらに悪い評価がつくことになります。

結局、「他人が自分をどう思うか」はコントロール不可能なのです。 コントロールできるのは、せいぜい「他人にこう思ってほしい」と行動するフェーズまででしょう。

周りの目を気にして、相手に「仕事ができると思われたい」「良い人だと思われたい」といった他人の評価軸で動いても、期待した分だけ自分へのダメージが大きくなることもあります。

期待しても報われないことも多いので、期待はそこそこにしておきましょう。

福山雅治さんのようなスターでも、「ブサイク」「歌が下手くそ」と言う人がいる世の中です。あなたがどんなに頑張っても、悪口を言われることはあると思って割り切りましょう。

「他人と自分は違う」という考え方が、心を守るうえで基本的かつ大切な考え方になります。

相手があなたのことを「ムカつく」「仕事ができない」と言ってきても、自分と相手は考えが違うので特に気にする必要はありません。

相手の感想が正しいわけでも、あなたの感想が正しいわけでもありません。どっちも感想に過ぎないのです。

 

「自分は何をしたいのか」を語る

自分は自分、他人は他人。私たちはわかり合えない関係から始まります。

だからこそ、生きるうえで「自分の意見を伝える努力」が非常に大切になってきます。他人は自分を全然わかってくれないからこそ、伝え方を工夫する必要があるのです。

では、どう伝えるべきか。「自分はこういう人間である」ということを一生懸命伝えるより、有意義な伝え方があります。 それは、「自分は何をしたいのか」を伝えることです。

自分をわかってもらうための説明は一方的で独りよがりです。「自分はこう見られたい」という願望が混じっていることも少なくありません。

一方で、「自分は何をしたいのか」というメッセージには、その目標が相手にとってのメリットにもなるなら、共通の目的を持って一緒に行動できるという意味が込められています。

行動を共にする過程で、言葉にせずとも「自分がどういう人間であるか」が伝わるでしょう。もちろん、それでもわかり合えないという結論に至ることはありますが...。

他人と自分は違うという大前提をもって、お互いの利益になることを見つけてみてはいかがでしょう。そのうえで、「自分は何をしたいのか」を語るのです。

たとえば、職場で「私が部の目標を達成するために、こんなプロジェクトに取り組みたい」と伝えるとします。こう伝えれば、否定的に「なぜ?」と言われてもお互いの利益である「目標達成」という大義名分で心を守ることができます。

行動を共にすることでアンチが味方に変わるのは幻想に近いかもしれませんが、「自分をまったくわかってもらえない状態」は緩和されるはず。

私は、自衛隊時代にあれこれ言われた時は「目標達成のため」と全て返していました。こうするとやる気があるように見えますし、建設的な意見を貰えることができます。

口下手な方は、社内でのチャットツールやメールを活用して意見をまとめ、信頼できる上司や同僚などを頼って伝えたほうがいいと思います。

「何を言うか」と同じぐらい「誰が言うか」が大切なのです。できる限り影響力がある方をスピーカーとして頼るといいでしょう。

 

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