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嫌いな人も苦じゃなくなる! "教養"としての人づきあいの極意

2018年11月28日 公開

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

佐々木常夫(元東レ経営研究所社長)

<<コミュニケーション力などの人づきあいの重要性は、よくビジネスシーンでも言われるが、その本質を理解し、実践している人は少ない。

「ビジネスマンにおける教養とは、成果に結びつくものではならない」と提唱する佐々木常夫氏が、ビジネスマンにおける「人づきあいの教養」について紹介する。>>

※本記事は、佐々木常夫著『人生の教養』(ポプラ社)より、一部を抜粋編集したものです。

 

禅も問いている「和合」の重要性

禅語に、「喫茶去」という言葉があります。見慣れない言葉ですが、「まあ、お茶でも飲んでいきなさい」という意味だそうです。

昔の高僧が地位の高い僧にたいしても低い僧にたいしても、なんら態度を変えることなく「喫茶去」と接したという故事から、親しい人も意に沿わない人も、だれにでも分けへだてなく相対することの大切さを説いた言葉といわれます。

禅宗はもともと坐禅や修行を通じて一人ひとりに「自立」を求める宗派のようですが、だからといって、人は一人では生きていけない。いくら自立していても、人には穏やかに接して仲よくつきあうべきである。そういう「和合」の精神をあらわす言葉です。

この「自立と和合」は組織で働く人間にとっても欠かせない条件、すなわちリーダーの教養にとって不可欠といえるでしょう。

 

「自立と和合」が組織人には大切

東レ時代、ある大手の化学メーカーと合弁でインドネシアに工場をつくったことがありますが、私はそのとき合弁会社を運営することのむずかしさを嫌というほど味わいました。

企業合併などでも事情は変わらないでしょうが、仕事の進め方や書類のつくり方、互いが使う「共通言語」にいたるまで、企業文化の大きく異なる二つの会社が共同で仕事をするのは思った以上の困難がともなうものです。

私も当事者として、いざ仕事を始めてみると、じつに多くの場面で事あるごとに両者の反目やら衝突やらがくり返されるのを目撃することになりました。

たとえば会社の性質上、資材の調達や製造技術に関することは先方がやり、工場の運営や従業員の募集などは東レが担当すると、それぞれの領分がはっきり定められていたにもかかわらず、その領分を越えて互いに口ばしをはさみあい、文句をつけあうのです。

向こうがある設備を買い入れるとなると、こっちが「その値段では高すぎる」といちゃもんをつける。こっちが「こういう人間を採用したい」というと、先方が「どんな人間か、こっちにも面接をさせろ」。そんなふうに細かいことでいちいちぶつかって譲らない。

また、向こうの上司についたこちらの人間があんまり根回しをしないタイプで、上司の許可を得ないまま仕事を独断で進める。上司が怒って、「あんなのは向こうへ戻して、もっといい人材を寄こさせろ」と怒鳴る。それを聞いたこっちの幹部が負けじと、「そっちにもこんなひどいやつがいるじゃないか、あいつこそ取り替えてしまえ」とやりあう。

そんな子どものけんかみたいなことがあちこちで勃発します。

そういうとき間に入って解決を図ろうとするのはこちら側では私くらい。私はずいぶん仲裁や火消しに走ったものです。

お互いの得になるのだからと納得ずくで始めた合弁事業なのに、「カルチャーが異なるというのはこれほどまでにたいへんなことなのか、いったいこの先どうなるんだろう」とずいぶんハラハラさせられ、みんなの自分勝手なふるまい、その和合精神の欠如に腹を立てたものです。

先方にも一人、もののわかった人がいて、二人で協力して解決に当たったことも少なくありません。やっと事業が軌道に乗ったとき、二人だけの慰労会を開き、「お互い苦労しましたね」と健闘を称えあいながら、達成感の中にも苦笑いの混じる祝杯をあげたものでした。

こんな経験もあって、私は考え方や価値観が異なる人間とも仲よくつきあうこと、人間関係をうまくこなすことは組織人にとって非常に大事な能力である、人と「和合する」能力はその人の教養度を測る一つの正確なバロメーターとなると考えるようになりました。

禅がいう自立と和合は、論語が教える「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」に通じる考え方です。

「私」を保ってわがままにならず、「和」を尊びながら付和雷同に陥らない。この組織と個人のほどよい距離関係とバランスの保持は、組織に生きるリーダーにとって教養の太い柱となるものなのです。

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