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なぜ、女性は「共感」を求めるのか? 職場で女性社員に嫌われない技術

2019年05月23日 公開
2023年03月02日 更新

黒川伊保子(AI研究者/感性リサーチ代表取締役)

「女性脳」は企業に必要不可欠な戦力

最後に、女性上司の下についたときの心得もお話ししましょう。管理職ともなれば、性差よりも個人ごとの才覚や価値観のほうが前面に出ますが、それでも「女性脳ならでは」の特性が現れる場面もあります。

例えば、AとBの2案を提示し、メリットとデメリットを説明したとき、しばしば女性上司は「で、あなたはどちらがいいの」と聞くことがあります。

女性脳は比較検討より、直感的選択を重視します。相手にもそれを期待するため、即答しないと「真剣さが足りない」と思われかねません。「Bです」など、事前に答えを用意しましょう。

ちなみに、そう答えたとたん上司が「Aにする」と言うことがありますが、部下をないがしろにしているわけではありません。上司はむしろ、真摯に考えた部下に好感を持っています。出した答えがたまたま別でも、傷つく必要はありません。

──さて、ここまで紹介した数々のワザを「面倒だ」と思った方も多いはず。「ビジネスは迅速な問題解決こそ命なのに、共感なんて」と感じられたかもしれませんね。

その考え方も一理ありますが、ビジネスには、女性脳が役立つ場面も多くあります。直観力や発想力は女性の得意領域ですし、愛着を持った仕事には途方もない集中力を示します。それがイノベーティブな発案につながることは珍しくありません。

共感は、その能力を引き出すための栄養分。日頃のやりとりにひと手間かければ、女性はのびのびとその才能を発揮するでしょう。合理性の型にはめようとする前に、「急がば回れ」のこの選択、ぜひお試しください。

 

<『THE21』2019年5月号より>

著者紹介

黒川伊保子(くろかわ・いほこ)

感性リサーチ代表取締役社長/感性アナリスト

1959年、長野県生まれ。栃木県育ち。奈良女子大学理学部物理学科卒業。㈱富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて人工知能(AI)の開発に従事。2003年に㈱感性リサーチを設立、脳機能論と人工知能の研究成果に基づく五感分析法を開発し、マーケティング分析に生かす。性別や年代による脳の性質の違いを軽妙な語り口で解説、講演やセミナー、テレビ出演等幅広く活躍。『キレる女 懲りない男』(筑摩書房)ほか、著書多数。

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