就職活動中は、不安や焦りから内定を獲得することに意識をとられ、働くことの意義や目的を見失ってしまう人も少なくないはず。
Abuild就活を展開しているNINJAPAN(株)の代表取締役である新井翔太氏は、「社会人として活躍し、人生を豊かにするために就活を行う」ことが大切だと指摘します。長期的視点をもって就活に挑むための考え方や心構えについて聞きました。
※本稿は、新井翔太著「最強の就活フレームワークABUILD」(PHPエディターズ・グループ)から、一部抜粋・編集したものです。
内定のためだけに就活をするな
就活をしていると、目的と手段が逆転してしまうことがあります。就活というのは、自分が社会人として活躍できる1社を見つけて、将来にわたって活躍し、人生を豊かにし幸せに生きるためにあります。
それにもかかわらず、内定を獲ること自体に囚われすぎてしまう人が続出します。「内定10社獲得した!」などと大量内定を自慢する人は、毎年のように出てきます。
内定をいくつ持っているかは、目的から考えるとほとんど意味がないことです。多くの企業から必要とされたことは嬉しいことでしょうし、頑張っただろうことは称賛に値しますが、本来の目的からズレてしまっています。
どこの企業に内定したかなども、他人と比較すべきものではありません。就活偏差値が高い企業に行くことがその人にとって幸せになるとは、必ずしも限らないからです。
自分のやりたいこと、目指したいこと、できるようになりたいことに対してどれだけ一致しているか、という点が唯一の指標であるべきだからです。
内定のための就活をするのではなく、将来そこで働いて人生を彩り、充足感を味わうための企業を選ぶ意識で就活をしてください。
本当の意味でその人にとって良い企業」に内定し、社会で活躍してくれることが本望であり通底する想いです。
企業はチームプレーで成り立っている
就活にあたって、画一的な黒いリクルートスーツで、同じような髪型で、よく分からないマナーを守らなくてはならないなど就活独自のルールに対して、違和感を覚える人も少なくないでしょう。かくいう私も、就活初期は斜に構えて反発心を抱きながら就活をしていました。
こうしたマナーやルールというものは元来の状況に対しての適した解であったことが多いのですが、時代が変化するにつれて形骸化しているものもあります。
ここでは不可逆性という現象が関係してきます。一度方向付けられたら、不合理なことでも守らないとマイナスに働く現象のことです。
意味がないことでも、それが常識となってしまった以上、それに反した行為をしてしまうとルールを理解できない無能と判定される現象のことです。
原理的に意味はなくても、形成されたルール上で戦うほうが有利だからそうすべきというシンプルな経済合理性に従うことです。
逆らってもたいして加点にもならないし、意味がないので無難にリスクヘッジするだけです。金髪にしたりピアスにしたり尖った格好をするなど色々とありますが、就活生が勝負すべき場所はそこではありません。
企業で貢献できそうな人間はどっちだと判断されるだろう? という視点で考えてみてください。
能力があっても協調性がない人間は、チームプレーで成り立つ多くの企業においては厄介者でしかありません。端的に言えば、上司などの他の人員のコミュニケーション・コストを余分にかけてしまうマイナス人材なのです。
企業内において、個人1人で出せるバリューなど実は知れています。様々な部署、多くのチームメンバーの関わりがあってこそ、仕事は成り立っているからです。
それでも、「そんな風潮は許せない。俺の考えや行動で社会のルールを変えたいんだ」という人はどうしたらいいのでしょうか?
簡単です。そういう人は企業に属さず、最初から個人事業でも起業でもしたらいいのです。そのほうがお互いにとって幸せになります。既存の枠を壊したいという気概のある人は、起業したほうが化ける可能性が高いことでしょう。
企業に入るということは、善悪なく会社のリソースの1つになるということです。
「会社の歯車」という言葉はネガティブなイメージがあるかもしれませんが、大きく世界に影響を与えるチームメンバーの1人になれるということでもあるのです。