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腐臭に気づかない...専門医が発見した「認知症の初期症状」

浦上克哉(日本認知症予防学会代表理事・鳥取大学医学部教授)

2023年11月22日 公開

 

なぜアロマセラピーで予防できるのか?

薬を内服したり、注射で打ったりすると、血液中に薬の成分が入ります。脳には、「血液脳関門」という脳の関所があり、そこで血液中の薬の成分がブロックされてしまうため、脳の患部まで薬が届きません。これが、脳の病気の治療が難しい理由の1つです。

仮に、薬を100投与したとしても、1しか血液脳関門を越えないとしたら、大量の薬を内服する、あるいは注射しないと、必要な量を脳の患部に届けることができません。

しかし、大量の薬を投与すれば、脳の患部に必要な量の薬が届いて効果が出たとしても、脳以外の部分でひどい副作用が起きてしまうことが多々あります。このため、実際には薬の大量投与はできないことが多いのです。

内側からがダメなら、外側からと考えますが、脳は硬い頭蓋骨に守られています。このため、外から薬を投与することもできません。

しかし、嗅神経だけは例外的に、頭蓋骨の外、鼻の奥の部分に露出しています。このため、香りが薬の役目を果たすとしたら、鼻から直接吸うことができ、嗅神経をダイレクトに刺激できます。

この刺激で嗅神経の変性を止めることができれば、認知症を予防できます。アロマセラピーは、予防のアプローチとしては、かなり可能性の高い良質な方法だったのです。

こうしたことから、「ちょっとアロマの香りを試してみるか」ということになりました。いろいろな香りを試す中で、認知症予防に効果があるアロマの香りを発見することができ、現在のように認知症予防にアロマセラピーを活用できるようになったのです。

 

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