300年読み継がれる健康書が記した「最も身体をむしばむ2つの感情」
2023年12月18日 公開 2023年12月25日 更新
『養生訓』は、江戸時代前期から中期に差しかかる1713(正徳3)年に出版されて以来、日本で最も広く、最も長く読み継がれてきた健康書の古典です。
著者の貝原益軒は死去する前年においても体力気力ともに充実し、自ら筆を執って『養生訓』8巻を書き上げ、83歳で見事に天寿をまっとうしました。その姿は、生涯をかけて追求した養生の道が正しかったことを雄弁に物語っています。
益軒が導き出した養生の大原則を、予防医学の第一人者で内科医の奥田昌子氏が編訳してお伝えします。
※本稿は貝原益軒 (著)・ 奥田昌子 (編集)『病気にならない体をつくる 超訳 養生訓』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
何をおいても養生の術を学べ
養生に努めれば健康になり、人生を長く楽しむことができる。これは、春に種をまいて、夏に肥料をやり、虫や雑草を取って丹精込めて世話をすれば、秋に豊かな収穫が得られるのと似ている。
自分の体は植物よりはるかに大切なものなのだから、植物に与える以上の愛情を注がねばならない。少しでも若いうちから、何をおいても養生の方法を学ぶべきである。
長生きできるかどうかは心がけ次第
ほとんどの人は長生きできる体を持って生まれてくる。しかし、せっかく丈夫に生まれても、養生の方法を知らなかったばかりに、生きられるはずだった年齢まで生きられないことがある。
そうかと思えば、弱く生まれついて病気がちだった人が、養生に努めたことで、かえって長生きすることもある。
しっかり養生すれば寿命が長くなり、養生しなければ短くなる。長生きできるかどうかは心がけ次第ということだ。
知恵を得るには長生きせねばならぬ
若いうちは衝動に駆られやすく、知恵も足りない。歴史を知らず、社会の変化にも慣れていない。勘違いして、あとになって悔やむことも多いし、物事の筋道も人生の楽しみもわかっていない。
長生きすれば毎日のように新たな発見があり、できなかったことができるようになる。こうなって初めて学問や知識を深めることができるのだ。
だからこそ養生に努め、何としても長生きしなければならない。養生の道を極めようと固く心に誓えば、寿命は延ばせる。