介護保険でまかなえる「高齢者向けのトイレ環境」の整え方
2024年07月24日 公開
高齢になるとトイレまでの移動も大変になり、間に合わないということも多くなります。しかしポータブルトイレを導入しても、寝室で排泄をすることに抵抗を感じるという方も少なくありません。どうしたら、ポータブルトイレを不快感なく使ってもらうことができるでしょうか? 『PHPくらしラク~る♪』では、大迫知信さんが自身の体験、そして介護のプロからのアドバイスを紹介しています。
※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2024年8月号より、一部を抜粋編集したものです。
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おばあ:松原文子(90歳)
1934年生まれ。大工の棟梁の夫と若い衆、子や孫に料理を作り続けてきた。近年パーキンソン病を発症し、孫の手助けが必要に。料理や介護に奮闘する孫に感謝しつつも、感想は率直で手厳しい。
孫:大迫知信(40歳)
脱サラ後、おばあが作るちょっと変わった料理に支えられ、念願だった物書きに転身。著書『おばあめし』(清流出版)を出版。おばあが台所に立てなくなってからは、自らが作る"まごめし"を出している。
・ブログ「おばあめし」 https://obaameshi.com/
・Instagram https://www.instagram.com/obaameshi/
ポータブルトイレ、プライドを傷つけずに使ってもらうには?
【介護のプロに聞いてみた】
――ポータブルトイレを使ってもらうにはどうしたらいいでしょうか?
これまで通り排泄ができなくなると、想像以上にプライドが傷つくんですよ。だからいくら「便利やで!」と言われても、すんなりと受け入れられないんです。まずは「一回、練習してみよか」と、介助して座ってもらうことからはじめてください。
ケアマネジャーを通じて、理学療法士のような専門職に来てもらい、乗り移る方法を訓練してもらうこともできますよ。そうして実際に座ってみて「トイレまで行くより楽や」となれば、使ってくれるはず。無理にすすめず、自ら使いたくなることが大切です。
――寝室にトイレがあること自体、嫌がっている場合はどうすれば...。
不快感を減らす環境作りも必要です。置くのは夜の間だけとか、少しでも目につかない工夫をしてみてください。パーテーションで囲う方法もあります。転倒時に姿が見えないと危険なので、便器に座っていることがわかる高さにしてください。
特に文子さんは病気のせいで転倒しやすいので、ベッド用の介助バーや、補助手すりも設置するといいですよ。ポータブルトイレは介護保険で購入しましたよね。手すりは介護保険でレンタル可能です。介護する側もされる側も、公的な制度を活用して金銭的な負担を減らしてくださいね。
――ありがとうございます。おばあのトイレの環境、工夫してみます!
協力:一由麻里
おばあと孫が暮らす大阪・四條畷市で90年続く福祉の会社、畷ケアサービス(ちよの里)を営む3代目。介護の問題に直面するおばあの孫の相談に乗っている。
マンガ:いしづかちなつ
京都芸術大学マンガ学科卒業。認知症をわずらった祖父の介護にあたった6年間をマンガにした同大学の卒業制作『ころがる毎日』で優秀賞を受賞。