ビジネス書を中心とした本の要約サービスflier(フライヤー)が発表した、「2024年最も読まれた著者」として選ばれた作家の有川真由美さん。『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)や『いつも幸せそうな人の小さな習慣』(毎日新聞出版)など、多種多様な悩みをかかえる読者に寄り添い励ますようなご著書を数多く出版されてきました。そんな有川さんに、現代人が抱きがちなお悩みを相談してみました。
※2024年最も読まれた著者ランキングは「flier」の有料会員を対象に、スマホアプリおよびウェブのアクセス数(要約閲覧数)を、著者別で集計し、順位付けをしています。集計期間は2023年12月1日~2024年11月15日です。
社会や周りの環境に振り回されず、今を豊かに生きるコツ
――経済や社会が不安定な時代にあると思います。物価の上昇や世界情勢の変化...暗くなってしまうようなニュースが多いですが、そんな中で私たちはどのように幸せを見つけていけば良いと思いますか?
【有川】自分が何をしたら喜ぶのか、どんな道を歩きたいのかを知ることが大事です。周りを見て「あの人は幸せそうだ」とか「お金があれば幸せなんだろうか」とか、キョロキョロすると道に迷ってしまう気がします。
社会情勢がいろいろ不安だからといって、社会の方にばかり目を向けていたら、ますます迷子になってしまいます。だからこそ、自分が本当に望んでいることは何か、どんな人生を歩みたいのかを問い直すことです。
――そのプロセスで、何か具体的な方法はありますか?
【有川】思っていることを書き出してみるのはいかがでしょう。言語化することで整理できるんです。何となくモヤモヤと「どうしよう」と思っているより、書き出してみることをおすすめします。
簡単なことでも、今何をしたいのかとか、今日一つ自分が満足できることをするとしたら何だろうとか、自分がわくわくできることを見つけてみましょう。するとだんだん自分のことがわかってきて、周りの状況に振り回されなくなると思います。
拙著『いつも幸せそうな人の小さな習慣』では、他にも幸せに生きるための具体的なコツをいろいろ書いています。
――では、人生における豊かさとは、どのようなものだと考えますか?
【有川】豊かさは単にお金や時間の多さではありません。むしろ、人生のさまざまな瞬間に深く感じる感情の質にあると思うのです。例えば、美味しいものを食べたときの喜び、誰かからの心強い言葉、自分の努力による充実感、小さな日常の感動...これらが本当の豊かさを形作ります。
豊かな感情を育むために大切なのは、日常の些細な瞬間に気づく感性です。季節の変化を感じ、小さな喜びに感謝する力。悲しみや怒りといったネガティブな感情も、人生を深く理解する上で重要な要素なんです。知識や経験を重ねることで、感情はより味わい深いものになっていくと思います。
人間関係の自然な変化を受け入れる
――人間関係の悩みについてお話しを聞かせてください。年齢を重ねていくにつれて、仲が良かった人のことを嫌いになってしまったとか、理由はないけど疎遠になってしまったとか、そんな悩みを聞くことがあります。これにはどのように向き合えば良いでしょうか?
【有川】ライフステージが変わっていくから、人間関係も変わっていくのは自然なことです。逆に変わっていかないといけない気がするんです。
とどまっていようとしない方がいいですよね。去っていく人もいれば、新しく来る人もいる。そのときは寂しいかもしれませんが、50代60代になったら一周回って、また元に戻る人もいます。
縁がある人って、無理しなくても続くんです。この人、このグループと付き合いたいけれど、でも無理しなければいけないという相手とは、やっぱりそのときは縁がないんじゃないかなと思います。
一方で、少し無理してでも付き合うべき人もいるのではないかと思うんです。例えば自分の目標とする場所にいる人や、なりたい人物像に近い人とは背伸びしてでも付き合ってもいいかもしれません。
私が作家として東京に出てきて本を書き始めたときに、作家ってどんな生活してるんだろう、どういう心構えなんだろうというのを知りたくて、他の作家の先生方と接点を作ろうとしました。
多少無理して作家の先生が開くセミナーに行ってみたりしているうちに、自然と友人感覚で会える関係性になっていき、それは私の作家人生にも大きく影響したと思います。
自分の進みたい方向に居る人に会いに行くことは、無理をしてでもやってみて良いのではないでしょうか。
価値観が合わないことを重く捉えなくていい
――価値観の違う人とはどのように付き合っていけばよいのでしょうか?
【有川】どうしても意見や価値観の合わない人は存在します。人間関係において、相手を変えようとすることや、価値観の違いで対立するのはおすすめしません。相手の意見を否定するのではなく、「私はこう思う」という自分の意見を伝えることが重要です。
相手の考えに100%賛同はしなくても、「あなたがそういう意見を持っているのはわかりました。こういう部分では協力できるし賛同もできますよ」というところで折り合いをつけていけばいいんです。
会社の中では付き合わないといけないけれど、無理に仲良くする必要はありません。必要なコミュニケーションさえ取れればいい。あまり重く考えすぎずに、心地よい距離感を保つことが大切です。そうすれば、お互いにハッピーに過せるんじゃないでしょうか。
取材・編集=PHPオンライン編集部 片平奈々子