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松下幸之助「感謝の心は幸福の安全弁」

PHPオンライン衆知編集部

2018年08月01日 公開 2023年01月10日 更新

感謝の心をもつことで幸福感が高まる

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感謝の心をもつことで幸福感が高まる。みずからの活力が高まってくる。
感謝の心を実践していく姿勢から、ほんとうの幸福も生まれてくる。
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――では、松下所長*はどんなときに感謝の気持ちをもたれますか。

【松下】まあ、ぼくの場合、商売をしてきましたからね。ですからぼくのところでつくった製品を買ってくださったお客さまから"非常に便利なもので、大変満足し、喜んでいる"そういうようなことを直接間接に伺ったとき、それは金銭にはかえられぬほど大きな喜びですわ。

したがって、感激もするし、またこうした仕事に携わっているということに素直に感謝したい気持ちになりますね。そして、それがまた新たなぼくの勇気にもなってくる。

つまり、感謝の念をもてるような人は、無限の喜びと新たな勇気というか、活力を生み出せる人間だといってもよいでしょうな。

――それでは、どうすれば感謝の気持ちをもつことができるのでしょうか。

【松下】それはやっぱり、自分自身で感謝の心を養わなくてはならないでしょうね。つまり、感謝の心をもつことが、みずからの幸福感を高め、ひいてはみずからの活力を高めるのだということを、まず知るというか、悟らんといかんでしょう。

ところが、それをみずから知ることができなかったら、誰かにそれを教わらなければならない。そこに宗教とか道徳とか人間の道とかいうことが、非常に大切になってくるわけですね。

それらの教えの中には必ず感謝することの重要性が説かれているわけですよ。ですから、みずから学ぶことができない人は、たとえば宗教の門をたたき、教えを請うたらどうかとも思います。

昔はたいていどの家庭にも仏壇がありましたね。朝夕、その前に座って両親が手を合わすというようなことをしたものです。そして、それを無心な幼子が眺め、自然にその真似をする。

そうしたことも宗教心なり、感謝の心を養うには大いに役立ったのではないでしょうか。しかし、近ごろはみな忙しくなり、またお互いの心に余裕がなくなったのでしょうか、だんだんと宗教心からは縁遠くなっていく傾向がありますな。

そうであれば、なおさらお互いの宗教心を養い高めていく必要があると思うのです。よりよき幸福を得るためには、宗教もまた、欠かせぬ大きな役割を果たすものだといえますからね。

そういうことを通して、感謝の心の大切さを学び、みずから実践していく。そうした姿勢からほんとうの幸福が生まれてくると考えるのですがね。(1977年6月)

*松下幸之助は、没するまでPHP研究所の所長を務めていました。

 

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