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医師が勧める「老後の食事」 栄養バランスを簡単に整える方法

保坂隆(精神科医)

2025年06月22日 公開 2025年06月24日 更新

年齢を重ねても若い頃と同じ食生活を送っていると、気づかないうちに"栄養過多"になっているかもしれません。老後の食事は量よりも質、そして何よりも「自分に合ったスタイル」が重要になります。書籍『精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」』より紹介します。

※本稿は、保坂隆著『精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

栄養過多の時代「一日三度の食事」がベストとは限らない

今では「朝、昼、晩」と一日三度の食事をすることが規則正しい生活の基本と思われていますが、実は日本で三度の食事が当たり前になったのは江戸時代以降で、それまでは「一日二食」が一般的でした。

平安時代の食習慣は普通、朝飯と夕飯の一日二食だったことが清少納言の書いた『枕草子』にも記されていますが、この時代の終わり頃には中国の影響を受けて、一部の貴族や高僧の間で一日三食の食事が流行ったようです。

それが庶民の間でも広がり、一日三食が一般化したのは江戸時代のこと。この背景には、ロウソクが普及して夜起きている時間が長くなり、一日三食の習慣が広まったのではないかと言われています。

これは西洋でも同様で、一日三食が定着したのは1800年以降で、それほど古い習慣ではないのです。

もちろん一日三食になったおかげで日本人の体格は向上し、労働力の強化にもつながったのですから、その功績は十分にあったでしょう。しかし、一日三食は絶対の定められたルールではないのです。これから、体をつくっていこうとする「若い育ち盛りの年代」にとっては、一日三食は大きな意味があるでしょう。

しかし、老後の域に入ってエネルギー消費量もぐんと低くなった世代の場合は、他の選択肢があっても良いのではないでしょうか。

現役世代でも、朝はどうにも食欲が出ないという人もいますし、自分には一日二食のほうが合っていると感じている人も少なくないと思います。

今の日本では、たとえ一日二食でも、栄養失調に陥るようなことはまず考えられませんから、自分自身の判断で、食事の回数やスタイルを決めても特に問題はないでしょう。

たとえば禅宗のお寺の中には、今でも「修行僧の食事は一日二食」と定められているところがありますが、厳しい修行を続けるお坊さんたちの印象は、極めて健康なものに見えます。

栄養過多の飽食の時代にあって、かえって朝食抜きの生活や、一日一食・二食という食事をすすめる研究者も多く、そのほとんどが自ら食事回数の少ない食生活を実践しています。

昔から「風邪の時は食事を抜いて、お腹を干したほうが早く治る」といった言い伝えにも慣れてきた日本人にとって、こうした考え方は意外とすんなり受け入れられるものかもしれません。

いずれにしても、過剰な栄養摂取がマイナスになる中高年の世代では、世間の決まりきった食事のルールに縛られず、自分の体調に合った食習慣を実行していけば良いのではないでしょうか。

「朝食を完全に抜くのは抵抗がある」という人は、朝は野菜や果実のジュースだけを摂るという方法もあります。

ただし朝食を抜く場合は、一日の水分の摂取量も減ってしまいがちなので、努めて水分を摂るように注意してください。

 

五色バランス健康法 「彩りの美しい食事」は身体にも優しい

「食事は栄養バランスが大事」とよく言われますが、献立を考えるたびに、この食事は何カロリーでタンパク質は何グラム、脂肪は何グラム、糖質はどのくらいなどと厳密に考えるのは、あまりに大変に思えます。

そこで、細かな数字やカロリーは考えず、食事全体のバランスを整えることにだけ心を配ってはいかがでしょうか? それなら調理をする時に、さっと調整ができて、とても簡単です。

では、その「食事のバランスを簡単に整える方法」とは何かと言えば、食事の色あいを整えること。

一般に「五色バランス健康法」とも呼ばれるのですが、東洋医学の「陰陽五行」の考え方をアレンジして、五つの色に分類した食材を一回の食事に摂り入れるようにします。

つまり、体に必要なものを色で分類し、必要な五色の食品を揃えるだけです。難しい理屈や数値よりも、こうした目で見てすぐに分かる方法のほうが、ずっと長く実行しやすいでしょう。

それぞれの色が持つ意味を解説してみます。

 

■赤の食品

筋肉を作るたんぱく質と脂肪を含む、肉や魚の色が赤です。魚には不飽和脂肪酸が、にんじん、トマトなどの赤い野菜にはβカロテンが豊富です。

 

■黄の食品

畑の肉と言われる豆腐や味噌、油揚げなどの他、かぼちゃ、銀杏、ゆず、芋、とうもろこし、穀物などを含む食品群です。

 

■緑の食品

体の調子を整えるミネラルやビタミンを含んだ緑の食品群には、春菊、ホウレン草、ニラ、小松菜などの緑色野菜が挙げられます。

 

■白の食品

主食となるご飯、うどん、パスタなどが代表的で、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品も含まれます。大根、カブなどの野菜も白のグループです。

 

■黒の食品

低カロリーで食物繊維が豊富なキノコ類や、ミネラルがたっぷりの昆布やわかめ、コンニャクなどは黒の食品群。ヘルシーな食材がメインです。

 

「五色バランス健康法」なら、これら五色の食材を、毎日の食事の中に彩りよく取り入れるだけです。

何かの色を多く入れるとか、各色を同じ量にするといったルールもありませんから、できるだけたくさんの色を入れるよう心がけるだけで良いのです。

それだけでも、毎食こうした彩りの豊富な食事を続けていれば、自然と栄養バランスは整ってきます。

偏食になりがちな「単調」な色ではなく、目で見て美しい食事が体にも優しいとなれば、これほど分かりやすいことはありません。ぜひ気軽に試してみてください。

 

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