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生き方

「心のブレーキ」のはずし方

植西聰(著述家/心理カウンセラー)

2012年12月06日 公開 2022年12月28日 更新

仕事やプライベートで、最初はやる気に満ち溢れていたはずなのに、いざ取り掛かってみると、なぜかやる気が出てこない…。誰もが、1度や2度はこんな経験したことがあるのではないでしょうか。

心理カウンセラーの植西聰さんは、物事を進めていくときに「最終目標」を意識しすぎていることが原因の1つであると解説します。

※本稿は、植西聰著『心にブレーキをかけない生き方』(PHP研究所)より、内容を一部を抜粋・編集したものです。

 

何事も、楽しく、愉快に!

やる気はあっても、突然心にブレーキがかかって「もうイヤだ」という気持ちになることがよくあります。なぜでしょうか。

それは、ある種の感情が心に働くからだと思います。「面倒くさい」「嫌いだ」「苦手だ」「相性がよくない」「怖い」「不安だ」といったネカティブな感情です。

「がんばろう」と思っていたことでも、実際に現場に立ってみると、「こんなにたくさんやることがあるのか」と驚いて、つい「面倒くさい」と感じてしまうこともあるでしょう。

自分から希望していたことなのに、よくよく考えると不安や心配になることが出てきて、思わず尻込みしてしまうこともあると思います。

しかし、やらなければならないことは、やらなければならないのです。自分から希望したことであれば、やったほうがいいと思います。

どうせやらなければならないことならば、心にブレーキがかかった状態でイヤイヤながらというのではなく、楽しく、愉快に、元気よくやりたいものです。

本書『仕事も人生もうまくいく! 心にブレーキをかけない生き方』では、そのためのヒントを47項目にまとめました。

仕事でも、遊びでも、人間関係でも、イヤイヤながらでは、自分のためになることは何一つありません。

楽しく、愉快にやってこそ、自分のためになることがたくさん得られます。そうすれば自分が人間的に成長し、さらに明るい未来を引き寄せられるようになると思います。

 

目の前のことを一つひとつ片づける

ゴールを意識しすぎなければ、心のブレーキははずれる。

「千里の道も一歩から」ということわざがあります。このことわざは、もとは古代中国の思想家、老子の言葉に由来しています。

老子は、「大きな大木も、もとをただせば小さな芽から始まって生長した。9階建ての大きな建物も、最初は一抱えの土を運ぶ仕事から始まった。千里の道を行くのも、足元の小さな一歩から始まる」と述べています。

これは、「大きなことを成し遂げるには、何事も最初の一歩が大切だ。最初につまずいてしまえば、大きなことは成し遂げられない。気合を入れて慎重に最初の一歩を踏み出すのがいい」ということを表しています。

しかし、「この最初の一歩を、なかなか踏み出せない」という人も多いようです。その理由は「千里の道を行く」ことを考えてしまうからでしょう。

「これから千里も歩いていかなければならないのか。たいへんだ。面倒くさい。イヤになってしまう」という気持ちが働いて、心にブレーキがかかってしまうのです。

心理学には、次のような話があります。この老子の言葉にたとえて話します。

2人の男が建築現場で働いていました。ある人が、「何をしているのか」と男たちに尋ねました。

1人の男は、「土を運んでいる」と答えました。もう1人の男は、「9階建ての建物をつくっている」と答えました。

前者は、最後まで仕事をやり通すことができました。しかし後者は、途中で仕事を投げ出してしまいました。では、なぜ後者は仕事を投げ出すことになったのでしょうか?

心理学では、「9階建ての建物をつくっている」と考えると、「つい『9階建ての建物をつくるとなると、たいへんなことだ。いったい何日かかるのか。これから毎日、汗水流して働かなければならない。こんなつらい仕事はイヤだ』という気持ちが働いて心にブレーキがかかり、やる気を失ってしまうことになる」と教えているのです。

一方の「土を運んでいる」と答えた男は、そのような雑念に煩わされることがなかったために、仕事を最後までやり通すことができたのです。

 

今すべき一歩一歩の努力に集中する

「千里の道を行く」のも、「9階建ての建物をつくる」のも、いわば最終目標です。

物事を進めていくには「最終的に、どのようなものを達成するのか。また、どのような人生を実現するのか」という、はっきりとした目標を設定しておくことが大切だと一般的に言われています。確かに、その考え方も正しいでしょう。

しかし、とくに中途半端な努力では成し遂げられないような大きなことをしようと思う時、あまり最終目標のことを意識しすぎると、「たいへんだ」「つらい」「面倒だ」という気持ちから心にブレーキがかかってしまいます。

そのために最初の一歩を踏み出せなくなったり、途中で投げ出す結果になるケースも多いのです。

ですから最終目標をどのようにするか決めたら、いったんそのことはあまり考えないようにして、今すべき一歩一歩の努力、一抱えの土を運ぶ仕事をたんたんとこなしていくことに集中するほうかいいと思います。

それが最後まで物事をやり通す心得になるのではないでしょうか。

矛盾することを言うようですが、「よく目標を考えて物事を始める」ことも大切ですが、「よけいなことは考えずに最初の一歩を踏み出し、たんたんと無心になって物事を進めていく」のもまた大切なことだと思います。

この「よく考えながら、あまり考えすぎない」というバランスのコツをつかむことが、心のブレーキのはずし方になると思います。

「仕事のたいへんさ」について考えすぎず、たんたんと今やるべきことをこなしていきましょう。

 

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考え方1つで「幸せの種」はいくらでも見つかる

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