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読書を学びに変えるには? 文章力を磨くアウトプットの工夫

茨木彩菜(文章コンサルタント)

2025年08月28日 公開

読まれる文章を書くために必要なのは、表現力だけでなく「読解力」だと、文章コンサルタントの茨木彩菜さんは主張します。

読解力を身につけるために読書をすすめていますが、それを実際にスキルとして昇華させるには、どんな工夫が必要なのでしょうか。

茨木さんの著書『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』より、アウトプット方法をいくつかご紹介します。

※本稿は、茨木彩菜著『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』(インプレス)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

アウトプットで読書を「学び」に変える

どれだけ野球を観戦しても、プレイは上手くなりません。実際にバットを握り、振ってみるから、難しさやコツに気づきます。読書も同じように、手を動かすのが、感性・論理を鍛えるためのコツです。

小説では創造力を、実用書では論理や実用性を意識してアウトプットすることで、感性と論理の両方をバランスよく鍛えられます。どんなジャンルでも「感じたこと」「考えたこと」「行動につなげること」を意識するのが鍵です。

 

小説から感情を掘り下げる

●感情を深掘りする

心に残ったシーンやセリフを抜き出し、なぜそれが印象に残ったのか、自分の言葉で説明します。好印象に残った部分は、あなたの大切な価値観が反映されているケースが多くあります。逆に、悪い印象に残ったシーンやキャラクターは、あなたの欠点や弱み、価値観を知るきっかけになります。面白かったかどうかではなく、感情が揺れ動いた部分や理由を深掘りしてみましょう。

●別視点で書き直す

物語は主人公の目線で語られますが、別の視点で再構成してみましょう。『走れメロス』なら、暴君ディオニスや友人セリヌンティウスの目線でストーリーを書き直すのが、授業でも定番です。別視点に立つことで、主人公からは見えない人物の葛藤が見え、考えが深まります。

●イラストに変換する

絵を描くのが好きな人は、物語の展開をイラストで表現してみてはどうでしょう?登場人物の周りには何を描くべきなのか。意外と読めていない部分に気づくことがあります。文章を絵に置き換えると、場面設定や登場人物の心情読解が深まります。「絵に置き換えられるように文章を書けているか」と推敲するときの視点にもなります。

 

ビジネス本を実践に活かす

●要約して自分の言葉でまとめる

本の主張や結論をまとめ、実生活や仕事にどう役立つかを書き出します。要点をまとめる力を鍛えつつ、本で得た知識を実生活で役立てるようになります。

●仮説と検証を試みる

学んだ内容をもとに、すぐに実践できるものを試します。例えば、「『朝のルーチンが成功を生む』とあるが、夜型人間にはどう適用できるか?」といった、本の中の主張に対して、自分の考えや経験をもとに仮説を立てます。計画・仮説・検証し、本の知識を自分の血肉に変えます。

●メタ読書を実践する

メタ読書とは、本の構成や著者の意図、文章表現の技法を分析する読み方のことです。メタとは「高い次元」「超越した」という意味があり、メタ読書は俯瞰的な読み方を意味します。

本の構成、文章のリズムや表現の分析、読者目線の意識、筆者の立場や意図などを分析します。本の帯に注目すると、キャッチコピーや読者ターゲットがそのまま書かれている場合もあり、著者または編集者の狙いが読み取れます。

本を開いて「読みやすい」と思ったときは、見出しやタイトルがいいのか、段落の区切りや図解が活用されているからなのか分析してみましょう。読みやすい本、読みにくい本を並べて見比べてみると、よりその理由が顕著に分かります。

 

感性を鍛える読後のアウトプット術

●自分の経験と結びつける

本の内容を、自分の過去の経験や状況と結びつけて分析すると、考えや価値観を深掘りし、感性を磨けます。筆者と自分の経験を比較することで、新たな視点を取り入れられます。

例えば、筆者が「挫折は人生のスタート」と語る場合、自身の「失敗」を「成長のきっかけ」と捉えられるようになります。

●引用文を使ったSNS投稿

心に残った1節を引用し、その部分についての感想や考察をSNSで発信します。誰もが発信者となれる今、まず自分の意見を言語化するのは、他者の意見に惑わされないための方法の1つです。

●読書ログを書く

読んだ本の内容だけでなく、その本を読んだ自分の感情や気づきを記録します。私はいつもA4のノートに「タイトル」「作者」を書き、印象に残った内容を書き留めています。人の意見や考えに触れていると、自分のアイディアが出るときもあるので、浮かんだことはノートの端や別ページに書き留めて、思い出せるようにします。

●本を題材にした会話をする

同じ本でも人によって琴線に触れる箇所は異なります。家族や友人、同僚など、ある本を読んだときの感想を話し合ってみましょう。自分、相手の価値観に触れて、多様なものの見方ができるようになります。

●自分ならどう書くかを想像する

その本のテーマや内容を、自分の言葉や視点で書き直すとしたらどうするかを考えます。具体的には、筆者が使った比喩や説明、登場人物の視点、構成をアレンジするなどの方法があります。筆者の表現を分析することで、自分の文章に応用できたり、創造力を培ったりできます。

●アウトプットで感性を鍛えるポイント

・感情を意識する:感じたことを具体的に言葉にする。
・自分との関連を見つける:本の内容を自分の経験や考えと結びつける。
・多様な視点を取り入れる:他人の意見や新しい視点で本を捉える。
・行動に移す:読書から得た学びを実生活で試す。

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