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くらし

90歳まで料理を楽しむために 60歳から始めたい食習慣

加藤ゑみ子(インテリアアーキテクト)

2025年09月12日 公開

年を重ねるにつれて、食事が面倒に感じられたり、若い頃との食欲の差に戸惑うことはありませんか?
食は、単なる栄養補給ではなく、あなたの人生を豊かに彩る最高の愉しみであると語ったのは、2024年11月に惜しまれながら逝去した加藤ゑみ子氏です。彼女が大切にしていた、人生をより一層輝かせるための「食の知恵」を、一緒にひもといてみましょう・

※本稿は『変化を愉しむ 60歳からの気品のルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

食生活を変える

人気の高級レストランは一年先まで予約でいっぱい。

仕事や家庭に余裕ができた今こそ、この自由な時間を活かして食の愉しみを満喫しましょう。

日々の食事も同様に大切です。質の良い食材を取り寄せたり、自家菜園で安全な野菜を育てたりすることは、健康増進にもつながります。

人間にとって食事は単なる栄養補給ではなく、喜びと幸福の源です。

豊かな食材と多様な料理がある国に住んでいると、その恵みが当たり前になりがちです。

日本が食文化において恵まれた国であることを改めて認識し、その幸せを大切にする時が来ています。

 

料理は90歳でも

時間に余裕ができても、料理を億劫に感じる方は少なくありません。

特に一人分だけを作るのは面倒で、つい市販の惣菜に頼りがちです。

そんな時、誰かのために料理する習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

忙しい若者に手料理を振る舞い、自慢の一品で喜ばせたり、常備菜を届けて栄養バランスを整えてあげたりすることは、相手にとっても大きな支えになります。

90歳を超えても料理を愉しむ方が多いという事実は、食事づくりが生涯の喜びになり得ることを示しています。

若い世代に食の愉しさや大切さを伝えていくことも、人生の幸せを広げる素晴らしい営みなのです。

 

調理道具は少なく

料理で疲れるのは後の片付けです。

料理そのものはワクワク愉しめても汚れ物、周りの手入れ全般は疲れます。

調理道具を全部見直して最小限にしましょう。

腕前があれば、道具は少なくても大丈夫。

まずは便利だからと増やしたアイデア器具を少なくするといいかもしれません。

キッチンがスッキリすると料理が愉しいものになるはずです。

 

定番の食材や味を見つける

「美味しい」と感じる味や食材は人によって異なります。

自分が本当に美味しいと思うものを見極め、それを迷わず定番として取り入れることが、健康な身体づくりへの近道といえるでしょう。

流行の料理に振り回されるよりも、栄養価の高い食材を使った簡単な料理を日常的に取り入れる方が望ましいものです。

自分自身の好みと体調に合わせた食事選びを心がけることで、長く続けられる健康的な食習慣を築くことができます。

 

新しい食にもトライ

定番の味を押さえつつ、新しい挑戦も続けましょう。

若い人に評判のものを試してみると、なるほどこれが若者の味かと納得できます。

自分の味覚のレベルを再認識でき、自信にもつながるかもしれません。

味覚は愉しさをたくさん与えてくれます。

味覚の優れた人は、他の感覚も優れています。

美味しいものを食べることで、味覚は磨かれ、味覚を磨くことは他の感覚を高めていくことにもつながります。

 

野菜は産地直送

野菜はスーパーで買うよりも、産地直送を取り寄せる方が少し手間はかかりますが、鮮度の高さが魅力です。

信頼できる生産者から直接購入したり、道の駅に立ち寄ったりすれば、新鮮な野菜や珍しい品種と出会えるチャンスがあります。

地元で育った濃厚な栄養素がたっぷり含まれた野菜を食べると、体が喜ぶ感覚を実感できるはずです。
産地直送の野菜を取り入れて、健康的な食生活を愉しんでみましょう。

 

「美味しい」は感謝の言葉

90歳以上の人たちは、食しながら必ず嬉しそうに「美味しい」と言います。

美味しいという言葉は、感謝の言葉でもあるということです。

感謝の気持ちを持った時、ふと幸せだと思えます。

誰に感謝するとか、何に感謝するとかではなく、生きているということ自体、多くの人に支えられ、お世話になっているおかげであり、自分が孤独ではないことの証であり、それこそが感謝すべきことなのです。

 

食べない時間も大切に

健康な食生活においては、食べるだけではなく「食べない時間」の確保も必要です。

私は食べない時間は、1日のうち16時間程度にしています。

消化器官を休めることによって次の吸収を良くします。

朝はお白湯など身体を温める程度の軽いもので、お昼は午後の活動に備えてしっかりした食事です。

夜は8時までに、食事を終えるようにします。

ただし、会食などに誘われたら、時に毎日のルーティンは無視します。

食事会は愉しいわがままな自由時間だからです。

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