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医師が薦める「腸を動かす朝の習慣」 慢性便秘に役立つ簡単エクササイズ

川本徹(みなと芝クリニック名誉院長)

2025年12月16日 公開

腸活のために食事に注意している方は多くいます。しかし、どれだけ食事に気を遣っても慢性便秘が改善しない場合は「大腸のぜん動運動」が弱まっているのかもしれません。書籍『コンパクト版 結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』より解説します。

※本稿は、川本徹著『コンパクト版 結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

腸活は食事の改善だけでは不十分

腸のぜん動運動は、入って来た食べ物を分解・消化し、吸収し、さらに便を作っていらないものを排出するために欠かせない動きです。

胃と腸それぞれが筋肉を収縮・弛緩させる動きを繰り返し、中に入っているものを移動させていきます(また、管をゆっくり握ってゆるめるような動きを繰り返す、分節運動という動きも同時に行われています。これは中に入っているものを混ぜ合わせて、ひとまとめにするための動きです)。

ですから、もしもこのぜん動運動が止まってしまったら、消化吸収も排便もうまくいかなくなります。

慢性便秘に悩む方は、たいてい大腸のぜん動運動が弱くなっているのです。ぜん動運動が活発なら、便が大腸内に居座らず排出されます。便と一緒に悪玉菌のエサになるタンパク質のカスや、悪い脂なども排出されるので、悪玉菌が腸内で極端に増殖する心配はありません。

しかし、ぜん動運動が弱いと、せっかく善玉菌を増やすような食事をしても、それらがきちんと腸に作用しない可能性が高くなります。

食事には気をつけているのに腸の調子が改善しないという人は、善玉菌を増やすことに加えて、腸のぜん動運動の促進を意識する必要があるのです。

腸のぜん動運動は、私たちの意思とは関係なく起こっています。「動け!」と命令をして動かすこともできませんし、腸の中に命令するものがいるわけでもありません。基本的には自律神経が、その動きのカギを握っています。

けれど、私たちが日常生活でちょっと工夫をすれば、自律神経を整えて、その結果としてぜん動運動を促進することはできます。腸活=「ぜん動運動の促進+食事の改善」の二本柱だということを覚えておいてください。

 

効果は実証済み! 寝るだけでぜん動運動が起こる

毎朝の習慣にしてほしいのがこのエクササイズ。起きた直後、布団の上でしばらくうつ伏せ寝をしてみましょう。簡単すぎて、こんなことで効果があるの? と不思議に感じるかもしれませんが、これはぜん動運動を促進するというエビデンスのある動きを2つ組み合わせたものなのです。

うつ伏せで寝ることと、背中を温めることにはぜん動運動を促す効果がある、という研究結果があります。

うつ伏せになると、腸は通常よりも圧迫された状態になるため、一時的にぜん動運動が制限されます。その一方で、腸の内側にかかる圧が上昇するため副交感神経が刺激されます。その状態をしばらく維持した後に起き上がると、腸の圧迫が解除されると同時にぜん動運動の勢いが増し、排便が促されるというメカニズムです。また、温めることでも副交感神経が優位になり、腸がリラックスし、ぜん動運動が促進されます。

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