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「休んでも疲れが取れない」のは時間だけが問題ではない 思考と体の本当の整え方

鈴木亜佐子(スタンフォード大学認定コンパッション・アンバサダー)

2026年04月13日 公開

「週末はしっかり休んだはずなのに、月曜の朝にはもう疲れている」「考えごとが止まらず、夜眠れない」......そんな慢性的な疲労感に悩んでいませんか。休んでも回復しないのは、時間が足りないからではなく、「ケア」が適切に行き届いていないサインかもしれません。

本稿では、スタンフォード大学認定コンパッション・アンバサダーである鈴木亜佐子氏の著書『スタンフォード式 自分をいたわる人がうまくいく』より、今日からすぐできる「体のケア」と「思考のケア」の実践的なノウハウを紹介します。

※本稿は、鈴木亜佐子著『スタンフォード式 自分をいたわる人がうまくいく』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

休んでも回復しないのはなぜか

休んでも回復しないのは、単に「時間が足りない」からではありません。心と体に必要なケアが、適切に行き届いていないからです。

たとえば、仕事の合間にスマホを眺めて過ごすことを「休憩」と思っていても、実際には脳は情報処理を続けており、本当の意味では休めていません。

セルフケアというと「休む」「癒す」といったイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際にはもっと広く、もっと奥深いものです。それはまるで、自分という存在を支える柱のようなもの。本稿では、特に現代人が疲弊しやすい「体」と「思考」に重点を置きつつ、実生活にすぐ取り入れられる工夫を紹介していきます。

 

体のケア:「休んでも回復できない」を脱する

ビジネスパーソンの多くが最初に感じるのは「体の疲れ」です。朝起きても体が重い、会議中に集中力が続かない、休みの日もぐったりしている......。この「疲労が回復しない」状態こそ、体ケアが必要だというサインです。

最新の神経科学の研究によれば、睡眠は単なる休息ではありません。記憶や感情を整理するプロセスであり、脳と体を修復する最強のセルフケアです。睡眠の質を高めるには、次の3つのステップがあります。

1. 光をコントロールする

まずは就寝90分前からスマホやPCを閉じることです。ブルーライトは脳を「昼」と勘違いさせ、メラトニンの分泌を妨げます。寝室を暗くし、照明を暖色系に切り替えるだけでも効果があります。

2. 体温リズムを整える

人は深部体温が下がるときに眠りにつきやすくなります。入浴は寝る90分前に済ませると、体温が自然に下がるタイミングで眠気が訪れます。

3. 寝床を「睡眠の場所」に限定する

ベッドで仕事やスマホ操作をすると、脳は「ここは覚醒の場だ」と学習してしまいます。ベッドは「寝る」か「休む」だけに使う習慣をつけましょう。

 

思考のケア:頭の中を静める

「体は疲れているのに、考えごとが止まらず眠れない」「休日なのに仕事のことが頭から離れない」。こうした経験は、多くのビジネスパーソンが抱えているものです。体の疲労と同じくらい、場合によってはそれ以上に深刻なのが「思考疲労」です。

人間の脳には「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれる特徴があります。これは進化の過程で「危険を見逃さない」ために備わった仕組みで、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事のほうを強く記憶し、繰り返し思い出す傾向です。その結果、私たちは「やり残したこと」「ミスしたこと」「これから起こるかもしれないリスク」ばかりに意識を取られ、頭が休まることがありません。

日本社会には「準備不足は失敗につながる」という強い文化があります。そのため多くの人が「もっと考えなければ」と頭をフル稼働させ続けます。夜になってもパソコンの画面やスマホを見ながら、仕事の延長をしてしまう。ベッドに入っても「明日の資料は大丈夫か」「上司の反応はどうか」と考え続け、気づけば午前2時。そんな生活を続けていれば、思考疲労は限界に達してしまいます。

・頭の中を書き出す(ジャーナリング)

思考のケアには、脳を休ませる時間を意識的につくることが大切です。最もシンプルで効果的なのは、頭に浮かんでいることを紙に書き出す「ジャーナリング」です。

やることリスト、心配ごと、後悔、いら立ち......頭の中をそのまま文字にすると、不思議と気持ちが整理されます。考えを巡らせているとき、脳は同じ情報をぐるぐる反芻し続けがちです。しかし書き出すことで「外部ストレージ」に移すような効果が生まれ、脳は「もう覚えておかなくていい」と安心するのです。ある研究では、寝る前に5分間、明日やるべきことを書き出した学生グループは、そうしなかったグループに比べて入眠が早く、睡眠の質も高かったことが報告されています。

【思考を休ませるジャーナリング・ワーク】

必要なのは紙とペンだけ。寝る前の5分間を使って、頭の中を整理してみましょう。

1. 今日一番、心に残ったことは?
2. 今、頭の中でぐるぐるしていることは?
3. それは自分が今すぐできること? それとも考えても仕方ないこと?
4. 今日、自分をねぎらう言葉をひとつ書くとしたら?

この4つの問いを寝る前に書き出すだけで、脳は「考えを整理した」と感じ、思考の過剰なループから解放されます。紙に言葉として書き出すことで「頭から出して、置いておく」。これが、思考に居場所を与え、脳を休ませる最も効果的な方法なのです。

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