みなさんは普段、休日をどのように過ごしていますか? 自分の性格やライフスタイルに合わせて、休日の中身を見直しましょう。休日コンサルタントの鈴木潤士さんが解説してくれます。(取材・文:三井カナ)
※本稿は、『PHPスペシャル』2026年6月号より内容を抜粋・編集したものです。
自分らしい休みをデザインしよう
休日は本来、自分の好きなように過ごせばいいものです。しかし近年はSNSの影響で、プライベートの時間の過ごし方まで他人と比べてしまい、疲弊している人が多くいます。
誰かの「映える」休日を見て、これではいけないと思ったり、人から「いいね」と思われたくて、本当は面倒なのに無理をしてSNS用の写真を撮ったり......。そのような自分に合わない休み方をしていては、心身ともに休まりません。
スッキリとした気持ちで休み明けを迎え、毎日を楽しく生きていくためには、休日を自分らしく過ごすことが大切です。つまり、「自分の休日は自分でデザインする」ということ。次の4つのポイントを意識することが、休日をうまくデザインするカギとなります。
①休日タイプ......「自分らしさ」のベース(診断とタイプ別のアドバイスは下記を参照してください)
②体験の強度......意味のある休日だったか
③体験の賞味期限......終わったあとも印象に残り、「またこんなふうに過ごしたい」という気持ちが続いているか
④期待値......「これくらい満足するだろう」という事前の 予測を、実際の休日が上回ったか
まずは①を把握したあとで、②③④を意識しながら、過去の休み方の傾向を振り返ってみましょう。そして、自分が本当に求めている休日の過ごし方について考え、できる範囲で実践してみてください。意識を少し変えるだけでも、休みの満足度が格段に上がります。
一言で休日と言っても、趣味を満喫したい人、自分を磨きたい人、人と交流したい人、のんびりしたい人など、人によってニーズはさまざま。休日を自分らしく過ごせば、それぞれのニーズが満たされるのは言うまでもありません。
また、きちんと疲れが取れると気持ちも前向きになり、予想外の出会いや発見を受け入れやすくなります。よりよい休日は、人生全体の豊かさにつながっていくのです。
休日がもたらす3つの効果
休日のデザインを始める前に、まずはすべての人に共通する「休日を取ることで得られる効果」と、その効果の高め方についてご紹介します。
①用事と「心の距離」を取れる
仕事や家事、育児、介護などの「すべきこと」から離れて、「自分」と「用事」を切り分ける時間を持つことが、心の休息につながります。完全に離れるのが難しい場合は、可能な範囲でスマホをオフにする、時間を決めて一人になる、いつもと違う場所に行くなどの工夫をしてみましょう。
②体が休まる
のんびり過ごすにしても活動的に過ごすにしても、人間の体は「したいこと」をしている時間にこそ、リラックスできます。好きなことで一日を埋められるのは、休日ならでは。大いに満喫し、体を休めましょう。とはいえ、活動的に動きすぎた場合は、少し長めに睡眠時間を取るように心がけると◎。
③自己肯定感が高まる
平日と比べると休日のほうが、どう過ごすかを自分でコントロールしやすいはずです。自分が「やりたい」と思ったことを計画して、実際に行動に移すという成功体験を重ねることで、前向きな意欲が湧き、自己肯定感が高まります。
ここまでにお伝えした「休日タイプ×体験の強度×体験の賞味期限×期待値」の考え方をもとに、「こんな休日を過ごしてみたい」という自分の希望を洗い出してみてください。
あなたに合った休み方は? 休日タイプ診断
ここからは、自分の休日タイプについて見ていきましょう。当てはまった項目が一番多いのが、今のあなたのタイプです。環境やライフステージによって変化する場合があるので、定期的に診断し、休日を振り返ることが大切です。
【Aタイプ】
□参加しなければならない行事が多い
□休日は家族サービスをしたい
□与えられた役割は果たすほうだ
□人の役に立つのが好き
□周囲が楽しそうだと満足する
【Bタイプ】
□休日の計画は事前に立てたい
□休日の内容は自分で決めたい
□理由のない外出は苦手
□「自分磨き」が好き
□ムダなく時間を使いたい
【Cタイプ】
□予定は「誘われて」決まりがち
□予定がない日は家にいることが多い
□特定の「やりたいこと」がない
□喜びは人と共有したい
□人と会うと楽しい
【Dタイプ】
□休日の計画を立てても、変更することが多い
□なんとなく休日が終わりがち
□目的もなく出かけることがある
□「偶然」と聞くとワクワクする
□散歩が好き
<タイプ別>おすすめの休日の過ごし方
Aタイプ:頼られるのが好きな使命応答型
人から頼られ、喜ばれることで充実感を覚えるタイプです。地域のイベントや子供の学校行事などで与えられた役割を果たし、「貢献欲」が満たされると、休日の満足度が上がります。予定のない休日は、心を許せる友達や家族とゆっくりおしゃべりをして、愚痴を聞いてあげるのも一案です。
ちなみに、育児や介護などで忙しくしていて、今だけこのタイプに当てはまるという可能性もあります。役割を全うすることに疲れてしまっている場合は、自由な時間ができたら何をしたいか、今から考えておきましょう。未来が楽しみになり、それが心の休息にもつながります。
Bタイプ:自分らしく成長したい自律型
目的意識が明確で、目標に向けて自ら積極的に動くことが得意なあなたは、「休みをどう過ごすか」を事前にきちんと計画してから、当日を迎えたいと思っています。成長意欲が高く、勉強や自己研け ん鑽さ んにも熱心なタイプです。
休日の満足度を高めるポイントは、「自分で決めたかどうか」。予定通りに行動し、その結果に納得できたら、「良い休日だった」と思えるでしょう。反面、予定を詰め込みすぎて「思ったように動けなかった」とガッカリしやすい傾向があります。そうならないために、休日にやりたいことを明確にしつつ、予定を取捨選択しておくと◎。
Cタイプ:誘われたら行く関係同調型
自分からはあまり動かず、人からの誘いを待って行動するタイプです。あなたが誘いに乗るのは、「役に立ちたい」からではなく、「一緒に楽しみたい」から。飲み会やライブなどで時間を共有し、「楽しかったね!」と感想を伝え合えるかどうかが、休日の満足度の決め手となります。
一方で、「誘われたことを一緒に楽しむ」という流れに慣れてしまい、常に「誘われ待ち」をしているため、誰からも連絡のない休日の満足度は下がりがちに。特にやりたいことがなくても、前に楽しかった体験があればその再体験を提案するなど、時には「誘う側」になってみるのがおすすめです。
Dタイプ:「偶然」にロマンを感じる気まぐれ型
予定を決めずにふらりと出かけ、あとは動きながら気の向くままに考える......。あなたはそんな休日スタイルを理想としているのではないでしょうか。流れに任せて動いた先で、綺き麗れいな風景に出合ったり、思わぬ発見をしたりというような、予想外の出来事が増えるほど、休日の満足度は上がります。
弱点は、「偶然」を求めるがゆえに、当たりはずれが大きいこと。何も起こらなくてがっかりすることも少なくありません。細かい計画は立てなくていいので、行く場所など、「計画の入り口」だけでも決めておくと◎。これなら自由度を下げずに、満足度だけを上げられます。
最新! 国内外の休日事例
個人はもちろん、会社や国によっても休み方はさまざまです。休日の計画を立てる際のヒントが見つかるかもしれません。
●堂々とできる「ずる休み」(国内)
大阪府にある株式会社ハルでは、有給休暇とは別に、月1回を限度として休みを取れる「ずる休み休暇制度」を設けています。大人も子供も、特別な理由や予定がなくても休んでいいのです。
●休み方改革を県が推進!(国内)
2023年から愛知県が主導している休み方改革では、県内企業の休暇制度の充実を後押ししつつ、教育機関とも連携を取り、親と子が平日に休める「ラーケーション(ラーニング+バケーション)の日」を実現。土日や祝日の混雑を回避しつつ楽しむ体験を子供の学びにつなげるという趣旨で生まれました。ほかの自治体でも、導入事例が増えているそうです。
●オセロ方式で長期休みを増やす(国内)
「ホワイト企業大賞」を受賞した、岐阜県にある未来工業株式会社の休暇制度です。「オセロ休暇」は、火曜または木曜が祝日の場合、土日と祝日に挟まれた月曜または金曜が休日になるというもの。自分の会社にこの制度がない場合も、休日を取得する際の基準として、ぜひ参考にしてみてください。
●「短く濃く」休む(アメリカ)
アメリカは「休んで遅れをとっても自己責任」という競争社会。そのため、休暇中も仕事用のパソコンやスマホを開く人が多数派です。また、長期休暇が取りづらいぶん、休日は近場を旅行するなどして「短く濃く」楽しむ傾向があります。
一方で、国民の休日・サンクスギビングデー(感謝祭)には、遠方の家族も実家に集合。「家族と過ごす」というのは、アメリカでは特に多く見られる休み方です。
●「何もしない贅沢」を満喫(フランス)
フランスには、休日に「つながらない権利」があり、仕事用のパソコンやスマホをオフにして休みを過ごすのが一般的です。数週間にわたる年に一度のバカンス中は予定を詰め込まず、「何もしない贅沢」を満喫する人が多いのだとか。
休みを大事にする文化が浸透していて、8月には会社も行政機関も一斉に休業。社会単位で休暇制度が整えられた「お休み先進国」と言えるでしょう。
\休み明けが憂うつなあなたへ/
休みの最終日になると、「休みが終わってしまう」と寂しくなり、翌日を迎えるのが憂うつに......。そんな気分を払拭するヒントは、先にお話しした「賞味期限」にあります。「あの週末は楽しかった」と、いつまでも思い出すような休みが、「賞味期限が長い休み」です。
そのような休みを思い出すときに伴うのは、「またあんなふうに過ごしたい」という気持ち。賞味期限の長かった休みを参考に、未来の休日の計画を立ててみましょう。自分にとって満足度の高い休日を繰り返すことで、「楽しい休日は何度でもやってくる」と安心でき、ポジティブな気持ちで平日を過ごすことができます。
【鈴木潤士(すずき・じゅんじ)】
株式会社休日デザイン研究所代表取締役。「QOL・休みをカガクする」をミッションに、消費者の休みに対するマインドや行動データをもとにした企業・自治体へのマーケティング支援や休み方研修を行ない、メディアや講演を通じて、「休み方」に関する知見を発信している。