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バタバタした時によく効く小さな習慣

吉山勇樹(ハイブリッドコンサルティングCEO)

2014年07月18日 公開 2024年12月16日 更新

《PHP文庫『「バタバタしない」技術』より》

 

バタバタしているとはどういうことか

 「毎日やることが多くてバタバタしています」
 「バタバタと出てきたので、忘れ物しちゃった」
 「突然のトラブルにバタついちゃって……」

 このように私生活の中でも、仕事においても、バタバタしている状況が日常茶飯事だという方も多いのではないでしょうか。

 今や当たり前になったこの表現ですが、バタバタしているとはいったいどういう状態なのかをきちんと定義づけておきたいと思います。

 辞書をひいてみると「あわただしく騒ぎたてること」(『日本国語大辞典』)とされています。まさに落ち着きがなく忙しくしている様子がイメージできるのではないでしょうか。

 皆さんは「忙」という漢字の由来をご存知でしょうか。

 この漢字の部首である「忄」(りっしんべん)。漢字で書くと「立心偏」と書き、まさに心が立った状態を表すものです。その心を「亡くした」状態が「忙」という漢字なのです。

 まさにバタバタしているというのは、自分の心、気持ち、感情を忘れ、目の前のことに没頭してしまっている状態といえます。

 また、バタバタしている状態は、慌てている状態と言いかえることもできます。

 では、みなさんはいつ、どのような時に慌ててしまうでしょうか。

 朝、出勤する前の支度の最中にバタバタ。
 仕事の締め切りギリギリになってバタバタ。
 突発的なことを急にふられてバタバタ。

 このように、バタバタする傾向というのはおおよそ限定されてきます。

 個人差はあれど、傾向として見られるのは、

 (1)事前準備不足
 (2)時間管理不足
 (3)リスクの想定不足

 の3点に尽きるということです。

 ご自身の中でこの3つの内、陥りやすいケースを正確に把握することができれば、脱・バタバタが必ず実現できるのです。

 

バタバタしないための小さな習慣

【1】 あえて立ち止まることを選択する

 前述の通り、バタバタしている人は常にバタバタしてしまう「悪循環」にハマりがちです。

 忙しいと言い続けていても、期限はどんどん迫ってくる一方ですし、待っていても前には進みません。次から次に新たな仕事が入ってくるだけですね。

 私自身も、もともとはそんな悪循環に陥っていた部類です。

 しかし、今や仕事のダンドリや効率化に関する書籍をたくさん書いたり、講演やコンサルティングを手掛けることができるようになったのは、何が一番大きかったか。

 それはズバリ、悪循環を断ち切るために立ち止まる時間をしっかり確保したことです。

 日々忙しくしているとどうしても、目の前のやるべきことをこなすことでいっぱいいっぱいになってしまいます。しかし目の前のことばかりに忙殺されていると、本来やらなくてもよいことなのに手をつけてしまっていたり、もっと効率の良いやり方があるのに周りが見えなくなってしまっていることも多いものです。

 そんな余裕のない状態だからこそ、あえて冷静に立ち止まることは難しい、と考える方も多いでしょう。しかしながら、ここであえて立ち止まることをやらない限り、いつまでも同じ状態が続く一方です。これはいつまでたってもバタバタ続きになることを意味します。

   <<まずは1分間だけ手を止めて考える>>

 登山家の友達に聞いた話です。富士山の倍も標高があるような世界有数の山に挑む時は、酸素も不足し、思考力が低下している状況で、次に進むか下山するかを判断しなければならない時があるそうです。彼から「頂上まで300メートルだから、と何も考えずに前進したことで亡くなった友人がいる」という話を聞いて、あえて立ち止まることの重要性についても考えさせられました。

 目先のことだけで判断していては、何事もあとからそのツケが必ずやってくる――命がけの登山と日々の仕事に何の関係があるのか、と思う方もいるかもしれませんが、私はそういった、一見関係のないエピソードそれぞれを点で終えるのではなく、線にすることで、様々な気づきや教訓に発展させられるものだと考えています。

 彼にこの話を聞いたことで、バタバタしているから立ち止まれないのではなく、立ち止まらないからバタついてしまうんだ、ということを強く感じさせられました。

 自分がバタバタしているな、と感じだ時ほど、これからどうその仕事を片づけていくべきだろう? とか、先々を見越した時に、今最優先で自分は何をするべきなんだろう? 今やっているこのことは、果たして正しいのかどうか? と、たとえ1分でもよいでしょう、自問自答して取り組むことを、心構えとして持っておきたいものです。

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