「好かれる人」は、ひとりの時間の使い方がうまい
2014年04月04日 公開 2022年09月28日 更新
ひとりを楽しめる人は、人といい関係がもてる
人との関係づくりがうまく、コミュニケーションもうまく、人の話に「共感」もできる人。そしてもちろん人からも好かれて幸福そうな人。さて、これはどんな人だろうか。
逆説のようだが、そういう人はおそらく、孤独に強く、ひとりでいても楽しめる人だ。
ひとりでいることが楽しめない人は、ひとりになると何をしていいのかわからない。手持ちぶさたになって時間をもてあまし、だれかとコミュニケーションをとりたくなる。大した用事でもないのに、知人に電話をしたり、相手の家を訪ねたりする……。
もしも2時間、知人に電話をしたり訪ねたりすれば、知人は同じ時間、あなたにつきあわなければならなくなる。この人は心の寂しさを埋められ満足かもしれないが、そのために、知人はほかのことが何もできなくなるのである。
そんなことがたびたびあれば、知人だって、あまりいい顔はしておられまい。「もう、やめてくれ」という気分にもなろうというものだ。これが、人と人との関係が壊れてしまう、ひとつのパターンだ。
ひとりでいても楽しめる人というのは、このあたりの距離感がわかる。また、ひとりでいても苦痛ではないから、大した用事でもないのに連絡をとるようなことはしない。
ひとりでも楽しく過ごせる人とそうでない人の違いは何か。根本的な違いは「自分のことは自分でする」という生活の基本ができているかどうかではなかろうか。
ひとりでも楽しめる人は、個として自立し、ギブ&テイクの関係を保てる人だ。そこには「助け合う」という気持ちがある。
しかし、それはあくまでも「互いに」であり、「一方的に」ではない。自分ひとりの時間を楽しめる人こそ、社会の中のさまざまな人と充実した関係がもてるのだろう。
後悔のしかたに「その人」が表れる
どうしても欲しくてたまらないものがあり、その場で思い切って買った。
「衝動買いはいけない」と思いつつ、である。ところが、2週間後、同じものがバーゲンで安くなっている。あなたはどう思うだろうか。
「ああ悔しい! 私は奮発して買っだのに。5千円も損しちゃってほんとに悔しい」。ある人の場合はしきりに悔しがる。
また、ある人は、「もう少し待てばよかったのに、衝動買いしたからバチが当たったんだわ」と、くよくよ反省する。
また、「悔しいけど、ま、しょうがないか。バーゲンで買う人より2週間早く使えたのだから」と、さっさと気持ちを切り替える人もいる。
人の「前向き度」はこんなところにも表れる。だれがいちばん前向きかといえば、いうまでもなく、最後の人であろう。
この人は割り切りがうまい。自分に対しても人に対しても、「やっちゃったものはしかたがない」と、そこで気分をさっさと変えて、前向きになれるのである。
こういう人が近くにいると、こちらも早く立ち直れるというものだ。
テレビをがちゃがちゃと無理にいじっていて壊してしまった。がっくりきていると、「いいじゃない、最新のが買えるんだから。こういう機会がないとなかなか買い替えられないでしょ」。そうか、そう考えればいいのか。よし、いいのを探すぞ。そう思えてくる。
前向きに割り切れる人は、まわりの人の気持ちも切り替えてくれる。生活の知恵にあふれていて、トラブルにあっても最小限の損失で食い止めるコツが身についている、実践的な人ともいえる。そんな人のそばにいたい、友達になりたい、と思わせる人である。
<書籍紹介>
人間観察の達人・モタ先生が、上手に人間関係を築いている人たちを紹介。どうすれば「人に好かれる人」になれるのか、イラストで解説。
<著者紹介>
斎藤茂太(さいとう・しげた)精神科医、医学博士、随筆家
1916年、東京都生まれ。長年、家族・夫婦・子育て・心の病・ストレスを扱い、「心の名医」として厚い信頼を受けてきた。歌人で精神科医だった斎藤茂吉の長男。2006年11月逝去。
著書に『「いい人」が損をしない人生術』(PHP新書)、『「なぜか人に好かれる人」の共通点』『なぜかボケない人の「ちょっとした」習慣』(以上、PHP文庫)、『いい言葉は、いい人生をつくる』(成美文庫)など多数がある。