高村正彦×島田晴香(AKB48) やっぱり、選挙にいきましょう!
2015年11月25日 公開 2017年10月08日 更新
「普通の人に毛が生えた」くらいが政治家
島田 投票率が下がると、どんなよくないことが起こるのか、もう少し具体的にお伺いしたいんですが。
高村 たとえば、とくに今、若い人の投票率が低い。
島田 はい、たしかに低いと思います。
高村 それで、たいへん申し訳ないことなんだけれども、日本の財政赤字はGDPの2倍くらいある。これは、割合でいうとあのギリシャよりひどいんですよ。そんな国は他にはない。もう世界最高水準の借金。
島田 それはやっぱり、よくないことなんですか。
高村 よくないね。その借金を返すのは誰かといったら、われわれじゃないんですよ。われわれはじきにいなくなってしまう。島田さんたちです。若い世代のみなさんなんです。
島田 どうやって返していけばいいのでしょうか。
高村 財政再建するためには方法は3つある。いちばんいいのは、景気をよくすること。自然に税収が増えるので、それで返していくというのがいちばんいい。これなら誰にも負担はない。けれども、これから働く人が少なくなっていく時代に、いくら景気をよくする努力をしても、昔の高度成長みたいなことができますかと言ったら……。
島田 できない。
高村 なかなか難しい。そうすると、あとは嫌な方法が2つ。増税をするか、歳出をカットするか。増税は国民に直接負担を強いることになります。歳出カットのことについていえば、日本はいま少子高齢化が進んでいます。高齢化は、みんなが長生きするようになったということだから悪いことではない。しかし、少子化はよくない。なんとかするためには、若い世代が子どもを産み育てやすい環境をつくることが必要です。ところが、現在の日本は、若い人たちに対する歳出が先進国のなかでとても低い水準にある。一方、お年寄りに対する歳出は多いんです。
島田 財政が厳しいなかで︑全部にお金を出すわけにはいかない、ということですか。
高村 もちろん、高齢者福祉も大切です。しかし、少子化の現状を見ると、やはりお年寄りに歳出しているぶんの一部を、もう少し若い人に回すことが必要ではないか。もちろん、真に必要なお年寄りの福祉は削ってはなりません。それは政治家なら誰でも考えることです。ところが、高齢化でお年寄りの人口が多く、投票率も高齢者のほうが高い。若い人は低いとなると、どうなるか。政治家というのは、一部のマスコミが言うような悪い人ばかりではありませんが(笑)、選挙の応援演説でいわれるほど神様みたいな人ばかりでもありません。普通の人に毛が生えた程度の人が政治家なんです。すると、どうしても投票者の多いほうに目配りしてしまう。
島田 高齢者福祉が優先になってしまうんですね。
高村 もちろん、それでいいというわけではありません。政治家たるもの、誰が投票してくれようとも、国民全体を見て、いちばんいい政策をしなくてはいけない。とはいえ、政治家も人だからね。
島田 選挙のときに見ていると、選挙カーの周りに集まって演説を聴いている人も、年配の方が多いような。
高村 そうですね。投票だけではなく、街頭演説とか、集会をすると集まってくるのはお年寄りばかりです。そこでお年寄りの人たちの意見を聞くと、「私たちは戦後、廃墟のなかから立ち上がって、死ぬ思いで日本をつくってきた。だけど、今は生活がこんなに苦しい」。それはその通りなんです。森を見るのではなく、木を見れば、一つ一つ正しいことを言っている。だから、「ああ、それに応えてあげなきゃいけないなぁ」と思う。
島田 なるほど。
高村 一方で、若者は集会にはあんまり来ない。すると、意見を聞く機会がないんですよ。若者がどれだけ不安であるかとか、毎日の生活がどれだけ厳しいかとか。結婚や子育てなんてできない、とか。
島田 若者の意見が届いていない、ということですね。
高村 そうそう。だから若い人たちには、まず投票に行ってもらいたい。若い人たちこそ、「自分たちは損をしているんだ」「これからもっと損をする恐れがあるんだ」ということで、投票に行ってもらいたいんですよ。だから、島田さんもぜひ友だちを連れて投票に行ってくださいね。
島田 私の周りの友だちやAKB48のメンバーはみんな行っています。
高村 ぜひ、今後も続けて行ってください。