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日本の「国体」とは何か

竹田恒泰(作家/慶應義塾大学講師)

2016年03月02日 公開 2022年10月27日 更新

『日本人の原点がわかる「国体」の授業』《まえがき》《第1講》より一部抜粋

 

「国体」が死語になった理由

今や「国体」という言葉を知る日本人は少なくなりました。「国体」を考えることは、「日本人が最後に守らなくてはいけないものは何か」の問いに答えることです。

「国体」の語が死語になったのには理由があります。戦後、日本を占領統治した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が教科書検閲基準の一つとして、「国体」の語の使用を禁止したからです。以来、教科書に限らず「国体」の語が使われなくなりました。GHQが使用を禁止した言葉であることからも、「国体」の語は、日本人にとって重要な語であることが分かるでしょう。

戦後長い間、日本人は日本人としての誇りを失ってきました。世界の常識によると、祖国の歴史教科書は、わくわくして楽しみながら勉強できるように作られているものです。

ところが、日本で普及している中学の歴史教科書には、読んでわくわくするような記述は1つもありません。なぜなら、日本人が読んで誇りに思うような箇所はすべて削除されているからです。占領が解除されたあとに改めるべきでしたが、GHQの教育改革は、その後日教組(日本教職員組合)によって受け継がれましたので、戦後も長らく継続されてきました。

たとえば、日本は現存する国のなかで世界最古の国ですが、このことが教科書に書かれることはありません。日本人が誇りに思ってしまうことは教科書に書けないのです。本来ならどこの国でも懇切丁寧に教えている建国についても、日本では教えてきませんでした。

その結果、戦後教育を受けた世代は、すっかり日本人としての誇りを失ってしまいました。国際世論調査から分かることですが、世界で最も愛国心の低い国は日本なのです。日本人であることの誇りを持たなければ、日本を愛する「愛国心」など生じるわけがないのです。

ところが近年は、東日本大震災を経験してからというもの、急速に日本人が誇りを取り戻しつつあります。日本人が日本に関心を寄せるようになったことなど、戦後ありませんでした。この機を捉えて、1人でも多くの人に日本の建国の精神を知ってもらい、まっとうな歴史観と国家観を持って欲しいと考え、このテーマを選びました。

本書は、未来を担う若者に、日本人としてこれだけは知っておいて欲しいと思うことを講義した内容に加筆修正したものです。ただし、若者に限らず、どの世代の人でも楽しんで読んで頂けるような構成になっています。

私にとって、講義録が本になるのは初めての経験です。これまで私の本を読んだことがある人にとっても、新しい発見があるのではないかと思います。

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日本で唯一、天皇だけは替えがきかない

著者紹介

竹田恒泰(たけだ・つねやす)

作家

昭和50年(1975年)旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。平成18年(2006年)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。最新刊『日本人が一生使える勉強法』を始め、著書多数。

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