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酒井雄哉大阿闍梨が語る「仕事や人間関係で悩んだときには?」

2016年12月08日 公開 2022年06月15日 更新

 

仕事・勉強で悩んだときには

モチベーション維持のコツ

仕事や勉強をずーっとやっていると、「なんだかやる気がしないなぁ……。

もうサボってしまいたいなぁ」なんて思うこともあるんじゃないかな。モチベーションを保ちながら、ひとつのことをずっと続けていくには、いま取り組んでいることに興味を持って、あせらずゆっくりやっていくことだ。

継続してひとつのことをやっていく状態を、燃えているろうそくにたとえると、あせりや無理矢理頑張ることは、強い風となってしまい、ろうそくの火を途中で消してしまうんだよ。

そうならないためには、コツコツコツコツ、一歩ずつ前へ進んでいくのが一番いいんだ。試行錯誤しながら、自分にとってほどよいペースを見つけ出し、それを保つようなやり方をすれば、苦労なく続けていくことができると思うよ。

コツコツ実践していく

ゆとりのある教育は、一人ひとりの持ち味を認めることから始まるんだ。好きなことや得意なことを勉強させて、毎日の生活の中で学んだことを実践させるようにすれば、強みを伸ばすことができるし、頭の中に余裕を作ることができるからね。

 

いい人間関係を築きたいときには

ムカつく人との接し方

世の中にはいろいろな人がいるから、ときとして「あの人、許せない!」と思うようなこともあると思うよ。だけど、そう思ったときは、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいな。

物事の善悪というのは、個人個人の価値観にしたがって判断されるものだよね。たとえば、時代劇や講談なんかで、ねずみ小僧が出てくるけど、彼は話の中で、お金持ちから盗んだお金を貧しい人に分け与えているよね。人の物を盗むのは悪いことだけど、貧しい人たちからしたら、ねずみ小僧はいい人になる。物事のとらえ方次第で、善悪はひっくりかえってしまうんだ。

だから、自分の価値観にしたがえば許せないと思うことも、他の人の価値観で見たら、まったく気に留めないことかもしれない。そうやって考えていくと、何事も素直に、誠実に、ありのままの姿を見るのが一番、ということになるんだ。

カッとしたり、イライラしたりしているときは、心をまっさらにして相手を見ることが難しいかもしれない。そういうときは、すでに自分の価値観を通して相手を見てしまっているからね。

一度深呼吸でもして、冷静な心を取り戻してから、相手にまつわる過去の記憶や、余計な価値判断を捨てて、目の前にいる相手のことをただ感じてみるといいよ。

いま起きていることは、それ以外に何もないからね。いつもイライラしているように見える相手は、目の前にいるその人じゃなくて、自分が作った幻想なのかもしれないよ。

昨日の自分は昨日で終わり。今日は新しい自分

昨日の出来事を根に持って、今日もあれこれ考え続ける必要はないんだよ。もし昨日怒られたとしても、しゅーんとせずに新しい気持ちでいけばいい。嫌な人に会ったら明るく挨拶をして、相手がぷーっとしていたら、かわいそうな人だな思っていればいいんだから。

 

苦境に立たされたときには

どんなにつらいことも、時間が解決してくれる

目の前にあることを一生懸命やっていても、思わぬことをきっかけに、やっていたことがダメになることもある。そんなときは、さぞかしつらいだろうと思うよ。

戦後、僕の父親は、荻窪の駅前でラーメン屋さんをやっていたんだ。

朝8時に仕事を始めて、仕入れや仕込み作業が終わる11時にお店を開き、酔っ払ったお客さんたちが帰る深夜3時頃、ようやくお店を閉める。それから鍋の火を落として掃除をして、やっと眠れたと思いきや、すぐに朝がきて、仕込みを始めるんだ。

僕も手伝いをしていたんだけど、毎日同じリズムで夢中になって働いていたら、あっという間に4~5年たってね。結構繁盛していたんだよ。だけど、あるとき突然火事に巻き込まれて、ラーメン屋も周辺の店もみんな焼けてしまったんだ。犯人は捕まったものの、証拠不十分ですぐに釈放されたし、火事の原因もわからずじまい。

火事から一週間たっても、捜査中だからといって、お店のあった場所に入らせてもらえなくてね。途方に暮れているわけにもいかないから、お店を失った人たちは、東京都や都議会議員に「立ち入り禁止を解いて、仕事をできるようにしてください」と頼むんだけど、一向にらちがあかない。そのうち、お店のあった地域一帯に、区画規制対象のため、飲食店の営業は禁止する、という条例のようなものができてしまった。雀の涙ほどの立ち退き料を与えられて、商売を再開することは叶わなかったんだ。

またラーメン屋で働くことを心待ちにしていたから、目の前が真っ暗になって、すごくショックだったよ。

だけど、どんなにつらいことも、時間が解決してくれる。いつか、あんなこともあったな、と思える日が必ずくるから、現状を見て絶望することはないよ。人生を長い目で見て、いまできることを一生懸命やっていけばいいからね。

いまだけが人生じゃない。いいと思える日がきっとくる

いつも現実だけをとらえるとしんどくなるけど、物事は変転しているからね。いま悪くても上昇していいときはくるし、また時がきたら下降してきて、いいものが減っていくんだ。人生はその繰り返しだから、長い目で物事を見て、ダメならダメなりに生きていけばいいんだよ。

※本記事は、PHP文庫、酒井雄哉著『あなたには幸せになる力がある』の一部を抜粋編集したものです。

著者紹介

酒井雄哉(さかい・ゆうさい)

比叡山飯室谷不動堂長寿院住職、天台宗大阿闍梨

1926年、大阪府生まれ。太平洋戦争時、予科練へ志願し、特攻隊基地・鹿屋にて終戦。戦後、職を転々とするがうまくいかず、比叡山へ上がり、40歳で得度。約7年かけて4万キロを歩く荒行「千日回峯行」を80年、87年に2度満行。その後も国内外各地への巡礼を行っている。
主な著書に『ムダなことなどひとつもない』(PHP研究所)『一日一生」(朝日新書)などがある。

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