信頼できる占い師の見分け方
(鏡)40歳のことを「不惑」というのは、実際には惑うからだと思うんです。そうじゃなかったら、わざわざそんなふうに名づけないでしょう。僕だって、惑ってばっかりですよ(笑)。
(名越)ほんとですか? 惑われたときはどうするんですか。
(鏡)惑いっぱなしですね。解決できたら苦労しませんよね。しょうがない。
(名越)僕は50歳が近くなってから、あきらめがついたなあ。
40代の頃はめちゃめちゃ惑ってました。21のときに心理学を始めて、40くらいで精神医学の限界が見えてきたんですね。自分はどうしたらいいのか、五里霧中でした。
でも50歳の手前で、これまで自分が学んできたことをどうつなげていくのか、そのために何を研究していくべきかが個人的には見えてきたんです。
(鏡)それが理というものかもしれませんね。
(名越)誰しも、惑っているときは何かに頼りたくなるものだと思うんですよね。そんなときに占いのほうへ行く人はやっぱり多いんでしょうか。
(鏡)ええ、でも、占いを鵜呑みにしたり依存したりしてしまうのは危ないですよね。個人で占ってもらう場合は特に、人を選ばないといけないというか、気をつけないといけません。
健康な精神状態の人は、それほど危ないことにはならないと思うんです。よくないのは、弱っているとき。特に占い師さんに直接見てもらうんだったら、せっぱつまったときにいきなり行かないほうがいいですね。
(名越)八方塞がってからではないとすれば、どういうタイミングで行くのがいいんですか。
(鏡)やっぱり年末や新年の、節目のときはいいですよね。お誕生日とか。占いはすべての人に必要なものではないと僕は思うんですけど。
もし行くなら、平時の、心が健やかなときに行って、様子を見ておくことをおすすめします。それで、この人は信頼できると思える占い師さんを見つけたら、「かかりつけ」にする。
(名越)自分が冷静なときに信頼できる占い師さんを見つけておくということですね。余裕をもって相手を見られる。占いが当たる当たらないというよりも、信頼関係が大きいんでしょうね。
信頼できるかどうかを見分けるポイントってありますか?
(鏡)ぱっと見て運が悪そうな人はよくないですね。やめたほうがいいと思います。それを見抜けるのは、やっぱり平時なんですよ。
(名越)カウンセラーを選ぶのと似てるかも。覇気があるというか、健やかそうな人がいいですよね。
この人の言うことは心に沁みるなあとか、言葉少なだけど安心できるなあとか、そういう感覚も大事。病院にしたって、おなかが痛くてどうしようもなくなって行くときに、この人の言うことは納得できると思えるお医者さんがいると安心です。
七転八倒してるときだったら、お医者さんを見極めるどころじゃないでしょう。
(鏡)お医者さんと違って、占い師は資格や倫理規定が明確にない分、自分で見極めることが必要になってきます。
(名越)自分の感覚を信じて、主体性を持つことが大事ですね。
本記事は「PHPスペシャル」2012年1月号に掲載された「対談 私たちの未来と運命」より抜粋・再編集したものです