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くらし

⼩説が好きならば、誰にでも書く才能がある

草薙渉(作家)

2018年08月01日 公開 2023年01月23日 更新

まず、プロの「振り」をじっくり観るということ

では実際に小説を書くにはどうしたらいいのか。
これは当たり前すぎることだけれど、まずは今以上に本を読むこと。

野球で言うと、たくさんのゲームを観るのはいいけれど、ゲームの流れや勝ち負けにこだわる純観客者としての視点で漫然と観るのではなく、次のゲームで自分がバッターボックスに立つのだという視点で観るということ。

ボックス内でのスタンスやバットの握り、力の溜め方とか間合いの取り方など、さまざまに観察することが肝要で、そういう腹積もりで読書することが必要だろう。

実際、書きたいと思っている人に、小説などほとんど読んでない、という人が多いのには愕然とする。たしかに小説を読み始めるには、ある種のエネルギーがいるし、日々生活の中では、掃除や洗濯同様、面倒な行為に近い。

けれど、それでも書きたいとか読みたいという内なる欲求があれば、その気分を掴んでスタートすればいい。

本……とりわけ小説をたくさん読むことは、ストーリーの展開に驚いたり、人生の機微に触れるシチュエーションにドキドキしたりできるからだが、それだけではない。
その中のある場面とか、会話の一言に、きらめきを感じさせてくれることがあったりするからでもある。「それは何か?」

「えーと、語彙?」

「御意!」

つまり、読み手の言語的感覚に呼び掛けてくる、語彙を発見するという楽しみがあるからだ。

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ふとした「一言」との出会いを大事にする

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