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まさかの全米売上No.1! クリントン元大統領に小説を書かせた「スーパー弁護士」

山口晶(早川書房)

2018年11月22日 公開 2018年12月14日 更新

第39代大統領のジミー・カーター以来の元大統領の著書 瞬く間にミリオンセラーに

だが、バーネットも黙っていない。最新の彼の仲介の成果が、第42代アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンによる初小説『大統領失踪』(邦訳版は早川書房から2018年12月5日発売)だ。

単著でなく、世界的ベストセラー作家のジェイムズ・パタースンとの共著にはなっているが、この世界一裕福な作家パタースンもまたバーネットのクライアントだ(ちなみに、パタースンは一年になんと約8600万ドル[約95億円]を稼ぐと言われる)。

つまり、バーネットがマッチメイカーとなって、ミステリ・ファンを公言する元大統領と世界累計販売3億部超を誇るエンタテインメント作家のコンビを誕生させたのだ。自伝や回想録といったノンフィクション中心に扱ってきたバーネットからすれば、新基軸とも呼べる企画である。

元大統領が小説を書くなんてと驚かれるむきもあるかもしれないが、ビル・クリントンは小説を発表した初めての大統領経験者ではない。

同じ民主党の第39代大統領のジミー・カーターが、アメリカ独立戦争を題に取った歴史小説『スズメバチの巣』を2003年に発表している。これが元大統領による最初の小説だが、こちらはあまり話題にはならなかったようだ。

一方、クリントン&パタースンの『大統領失踪』は、2018年6月に「元大統領にしか書きえない小説」のキャッチコピーで売り出されるや、「大統領が突如ホワイトハウスから姿を消す」という簡単な筋立て以外は発売まで何も明らかにされなかったにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー初登場第1位を獲得。発売一週間で100万部を突破する大ヒットを記録した。テレビドラマ化の権利もすぐさま売れた。

この本のアドヴァンス額は非公表だが、これまでの著者ふたりの実績を考えれば、かなりの額になったことは想像にかたくない。「スーパー弁護士」の高笑いが聞こえてきそうだ。

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