評価も上司もない「ティール組織」が企業を成長させている現実
2019年02月19日 公開 2019年07月10日 更新
<<株式会社ソニックガーデンの創業者で代表の倉貫義人氏が注目を集めている。その理由は、異色の経営手法にある。
「上司なし・決裁なし」「経費は承認なく使える」「休暇は取り放題」「給与は一律、賞与は山分け、評価制度なし」「売上目標やノルマはなし」「働く時間も場所も縛りなし」「副業OK」……と、"最高に自由に働ける会社"として運営している。しかも会社は成果を挙げ続けているのだ。
本稿では、倉貫氏の著書『管理ゼロで成果はあがる 「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう』より、社員それぞれが自発的に最高のパフォーマンスを発揮する秘密を語った一節を紹介する。>>
※本稿は倉貫義人著『管理ゼロで成果はあがる 「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう』より、一部抜粋・編集したものです。
創造性の高い仕事では指示命令をしても成果が出ない
人から言われて働くよりも、自発的に働くほうがいい品質になるし、高い生産性を出せます。特に、自分の頭で考えて成果を出す仕事の場合はその傾向が顕著です。
たとえば、デザイナーやライターの仕事は事前に詳細まで決まった完成形がなく、よい作品を作るためには試行錯誤で進めていくしかありません。クリエイティブな仕事の出来栄えは、指示できないのです。
私たちが取り組んでいるプログラミングの仕事も、1行1行までは指示できません。見た目はきれいでも中身がぐちゃぐちゃだと、不具合が多かったりします。しかし、中身の詳細な品質は開発者に任せるしかありません。
接客の仕事、弁護士やコンサルティングの仕事、新しい事業を立ち上げるような仕事や、企画を考える仕事も同じです。ただ手を動かせば成果になるわけではありませんし、指示されてできる仕事でもありません。
この先、テクノロジーが発達するほど、単純労働の割合は減っていき、創造性が求められる仕事や人間を相手にしたサービスで満足してもらう仕事が増えるでしょう。そうした仕事は、指示命令のマネジメントをしても、卓越した成果は出せません。
しかし、ただ管理をなくせばいいというものではありません。各々がセルフマネジメントを身に付けることが先です。
「マネジメント」とは「仕事は組織に成果をあげさせること」。ただ作業の管理や監視をするだけではなく、成果をあげるために取り組むことすべてがマネジメントなのです。
そしてセルフマネジメントは、対象を「組織」から「自分」にします。つまり、成果をあげるために、自分の頭で考えて、自分が責任のとれる範囲で、自分で決めていく──それがセルフマネジメントです。ここでは、セルフマネジメントのレベルを3つに分け、それぞれ仕事・組織・自分の3つの観点で考えてみましょう。