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生き方

稲盛和夫氏が大切にしてきた毎日の習慣

稲盛和夫(京セラ名誉会長/日本航空名誉会長)

2019年02月25日 公開 2022年12月07日 更新

人生・経営の成功者といわれる人たちは、どうやってその成功を持続させているのだろうか。逆に、大きな成功を得ながら、維持することができず、やがて衰退の道をたどってしまう人々には、一体何が欠けているのだろうか。その差は、どこにあるのだろうか。

本稿では、そうした疑問に対し、有益な示唆を与えるであろう、京セラ名誉会長・稲盛和夫氏の講話の一部を紹介する。誰もが、普段の心がけ次第でとり組める毎日の習慣が、ここでは語られている。

※本記事は、稲盛和夫[述]・稲盛ライブラリー[編]『誰にも負けない努力』(PHP研究所)に収録された43項の講話の中から、3話<(2007年9月19日・「盛和塾」第十五回全国大会)(1992年4月6日・「盛和塾」神戸・播磨合同塾長例会)(2008年7月5日・京都「鹿児島県人会」)での講話>を抜粋・編集したものです。
 

理念、考え方、哲学を高め続ける日々

私は、かねてから「経営はトップの器で決まる」ということを言ってきました。いくら会社を立派にしていこうと思っても、「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」というように、その経営者の人間性、いわば人としての器の大きさにしか企業はならないものなのです。

例えば、小さな企業の経営で成功を収めた経営者が、企業が発展し、その規模が大きくなるにつれて、経営の舵取りがうまくできなくなってしまい、会社を潰してしまうということがあります。それは、組織が大きくなっていくにつれ、その経営者が自分の器を大きくすることができなかったからです。

企業を発展させていこうとするなら、経営の知識やスキルのみならず、経営者としての器、言い換えれば、自分の人間性、哲学、考え方、人格というものを絶えず向上させていくよう、努力をしていくことが求められるのです。

私自身も、決して若い頃から経営トップとしてふさわしい器を備えていたわけではありません。若い頃は未熟な面が多々ありました。しかし、そのことを自分でもよく理解し、少しでも成長できるよう、日々懸命に努力を続けていました。

ある経営者の方からお聞きしたことですが、二十年以上も前に私はその方に対して、自分の人生を「理念を高め続ける日々」と話していたそうです。

その方は、私が経営の技術を高めるというのではなく、経営にあたる理念、考え方、哲学を高め続ける日々を送っていると話したことに、いたく感動されたとのことでした。

そういえば、私は若いときから哲学や宗教関連の本を枕元に何十冊と積み、夜寝る前に少しでもひもとくよう心がけていました。たとえどんなに遅く帰ったとしても、一頁でも二頁でも頁を繰る。

若い頃からそういう日々を送っていたために、「理念を高め続ける日々」と、不遜にも自分の半生を総括したのだろうと思います。

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「反省」という心の栄養

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