「大卒女性」より「高卒男性」が課長になれる日本企業の現実
2019年03月27日 公開 2022年07月08日 更新
<<作家の橘玲氏は「日本人の働き方とグローバルスタンダードは根本的に違う」と指摘しつつ、自民党政権下の旗振りの下での「働き方改革」を実現したとしても、世界の企業との間には大きな差があると語る。
橘氏は、今後世界の潮流に飲み込まれていく日本人が、組織や人間関係の煩わしさから離れ、「仕事の腕」を磨いて“食っていく"ためのヒントを近著『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』で記している。
ここでは同書より、学歴主義の原則すら歪ませてしまっている日本企業の現実を語った一節をここで紹介する。>>
※本稿は橘玲著『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。
社会的な性差のギャップは世界最低ランクの日本
戸籍制度に象徴されるように、日本はいまだ前近代的なイエ社会です。女性は「嫁入り」して文字どおり夫の「家(戸籍)」に入るのですが、男性が所属するイエは戦後の日本社会では「会社」です。
男は会社、女は家庭という「イエ」に所属して社会を成り立たせてきたのが日本という国の姿です。
高度経済成長期にはこのイエ社会はうまく回っていました。生涯未婚率の推移をみると、1950年は男性1.5%、女性1.4%、1970年でも男性1.7%、女性3.3%で、日本人のほとんどは生涯(おおむね50歳まで)に一度は結婚していました。
こうした状況が変わりはじめるのが80年代からで、1990年には男性の未婚率が5%を超え、2000年に12・6%、2015年に23・4%と急激に上昇していきます。
女性の未婚率は2010年に10%を超え、2015年には14・1%になり、いまでは男性の4人に1人、女性の7人に1人が独身のまま生涯を終えます。
国民の大多数が結婚して「イエ」を構えることを前提とした制度は、もはや維持不可能になりました。しかし、イエ社会を前提とした日本型雇用は、こうした大きな変化にまったく対応できません。
日本でも1985年に男女雇用機会均等法が施行され、形式的には男女平等なはずなのに、管理職の男女格差はきわめて大きくなっています。アメリカ企業における女性管理職の割合は43%、フランスは39%、イギリスも34%なのに対し、日本はわずか11%にすぎません(2014年)。
その結果、男女の社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数では日本は世界最底辺の110位(2018年)です。――情けないことに、これでも前年の114位から順位が4つ上がったといってよろこんでいます。