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「部下にやる気が無い!」と憤る上司ほど過信する“自分は悪くない”

守屋智敬

2019年06月24日 公開 2024年12月16日 更新

<<風通しがよく、メンバーのモチベーションが上がり、イノベーションが起こる職場――そんな理想の職場とは正反対だ、というのであれば、それは職場にはびこる"アンコンシャス・バイアス"のせいかもしれません。人と人との間にズレを生じさせるアンコンシャス・バイアスとの付き合い方について、アンコンシャスバイアス研究所代表理事でコンサルタントの守屋智敬氏に伺いました。>>

※本稿は守屋智敬著『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント 最高のリーダーは自分を信じない』(かんき出版刊)より一部抜粋・編集したものです
 

メンバーが思いどおりに動いてくれずイライラ

グーグルなどの大企業がトレーニングを取り入れていることで知られている「アンコンシャス・バイアス」をご存知でしょうか。これは、誰の心の中にも大なり小なりある「無意識の思い込み」のことです。

人の意識と行動によって生まれるあらゆる問題に、アンコンシャス・バイアスは影響しています。逆にアンコンシャス・バイアスが影響していない、人の意識と行動から生まれる問題は、ほとんどないともいえるでしょう。

このアンコンシャス・バイアスが生まれること自体は自然なことですが、リーダーがアンコンシャス・バイアスに気づかないでいると、組織風土が悪くなったり、建設的で風通しのいい対話がなくなったり、個人や組織のパフォーマンスが低下したり、ハラスメントが横行するなどさまざまな問題を引き起こします。

私たちが気づきにくい「無意識」があり、そこに気づけるかどうかが、チームを、組織をよりよく変えていけるかどうかのカギを握っているのです。

ひとつ、具体的な例を挙げてみましょう。
次の会話は、ある課長が部下のミスを指摘したときのものです。

「経営にも打撃を与えかねない重大なミスだ。次回からはもっと慎重に確認してほしい」
「すみませんでした。ただ……私も重要なデータだとわかっていました。なので、課長にも最終確認をしていただいたんです。私ひとりが悪いんでしょうか!?」
「少しは反省しろ! どれだけ関係部門にお詫びしたと思っているんだ! !」

ここには、どんなアンコンシャス・バイアスが隠されているでしょうか?
ひとつには、課長の中の「上司からの指導は素直に黙って聞くべき」といった考え方が挙げられるでしょう。そしてもうひとつは、部下の反応を勝手に「こうだろう」と予想していたこと。

「申し訳ありませんでした。次回からは十分に気をつけます」との言葉が返ってくるだろうと無意識のうちに思い込んでいた課長は、部下からの予期しない返答に面食らうと同時に、羞恥心や防衛心や、とにかくいろいろな感情が渦巻いてカッとなってしまったようです。

私たちは、無意識のうちに相手に対して「こう言ったら、こう反応してくれるだろう」「こういうときは、こう動いてくれるだろう」などのように、過度な期待や、勝手な理想を抱いていることがあります。もっというと、「相手を意のままにしたい」というアンコンシャス・バイアスが潜んでいることがあります。

ゆえに、自分の予想とは違う反応が返ってきたり、相手が思いどおりに動いてくれなかったりすると、そのことにイライラしたり、苦手だと感じたりしてしまうのです。

無意識がゆえに、なかなか気づきにくいかもしれませんが、コミュニケーションをとりながら、時々は次のようなことを立ち止まって考えてみてください。

「相手を意のままに操ろうとしていないだろうか?」
「思ったとおりに動いてほしいと、過度な期待を相手にしていないだろうか?」
「こう回答してほしいという前提での会話をしていないだろうか?」

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バイアスによって生じる「解釈のズレ」

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