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生き方

孤独なほうが、老後資金の心配もなくなる

松原惇子(老後を応援する団体SSSネットワーク代表理事)

2019年08月30日 公開 2022年05月25日 更新

 

おひとりさまの老後を楽しく過ごす人たち


カメラ片手に近所を散歩、あるいは小旅行に行くのもオススメだ。気分転換にもなるから。撮った写真をフォトライブラリーで売れば、小遣い稼ぎもできる。

Sさんは64歳の主婦。今頃、夫と二人で悠々自適の老後を送っているはずだったが、夫が自営業だったため年金が少なく、しかもうつ病を発症した。

彼女にとり、結婚後に働くのは初めてのことだったが、背に腹は代えられない。資格のない彼女が見つけた仕事は、近所に新しくできた介護施設での掃除の仕事だ。

彼女は明るい顔で言う。「新しい施設なのでものすごくきれいなのよ。お掃除の仕事は、人間関係がないからとてもラク。わたしには合っている」。

時給1200円、1日4時間、週2日のパートで、月に約3万8400円の収入になる。この3万8000円の収入が入るので、気持ちがラクになったと話す。

夫に死なれひとりになった72歳の女性のKさんは、趣味のパンづくりを生かし、自宅の隅にパン工房を開設して収入を得ている。知る人ぞ知る住宅地の中のお店だ。まったく地味な場所なので、知らない人は気づかずに通り過ぎてしまう。お店は週3日の営業だ。

「ただ寂しくひとりで暮らしているより、好きなことでお金が入るのは精神的にもいい。お客さんといっても近所の方たちですが、お話しができるので楽しいし、何よりも現金収入があるので幸せ」と目を輝かせる。

次に紹介する70代の主婦Tさんは、同様の成功例だが、趣味のクッキーづくりが「おいしい」と評判になり、自宅の軒先に小さなお店をつくった。

わたしも食べたことがあるが、クッキーが苦手のわたしでもおいしいと思う腕前だ。自宅にいながらにして商売ができるのは、高齢者に向いているので真似する価値はある。

聞くところによると、彼女はこのクッキーづくりで、クッキー御殿を建てたそうだ。この話を聞いたとき、「クッキーだ」と鉱脈を発見した喜びに一瞬浸ったが、あの甘い香りが苦手だと気づき、真似するのはやめた。

女性の例ばかりになったが、男性にお勧めなのが、特許取得だ。俳句をつくる時間があるなら、アイデア商品を考えてお金にしたらどうだろうか。頭も使うし、試作品づくりや出願書類提出作業などは男性に向いている気がする。

気分転換にもなるから。撮った写真をフォトライブラリーで売れば、小遣い稼ぎもできる。

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ひとりであれば、他人の分まで稼がなくていい気楽さがある

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