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生き方

誰もがカルロス・ゴーン被告に…「年収にこだわる人」が陥る“欲の罠”

鵜飼秀徳(ジャーナリスト・浄土宗僧侶)

2020年01月06日 公開

 

カネとポストが「目的」になっていないか

本来ならビジネスパーソンにとって、社会の中でいかに役立つ製品やサービスを提供していくか、そこで自分はどのような役割を果たしていくか、という「労働の本質」こそが大事なはずです。

新人時代には、おそらくほとんどの若者がこうした確固たる理念を強く抱いていたでしょう。しかし、企業内で競争の原理が働けば、自分自身のポストや報酬額が「第一目標」になってしまい、労働の本分が見失われてしまいがちになります。

そこで多くの労働者は、開き直ってこう言うのです。

「家族を支えるためには、カネがいる」
「ポストが自分を成長させてくれる」

確かに、この意見もわからぬわけではありません。しかし、厳しい言い方をすればそれは、美辞麗句の言い訳に過ぎません。

カネとポストが「目的」になってしまえば、もうそれはニンジンをぶら下げられた馬と同様です。前に、前にと走り続け、仮に組織のトップの座を手に入れても満足し尽くすことはありません。

年収が900万円を超えれば目の前の1000万円の大台に手を伸ばしたくなるのは人の性さがです。年収1000万円を超えてもその欲望は止まりません。次は1500万円が目標になります。その次は2000万円、さらにその次は5000万円……。それは際限なく続くのです。

どこかで「知足」に気づけるかどうか。ふと、どこかで立ち止まって、冷静になって考えてみてください。

「本当に今以上の収入が必要なのですか」
「企業内の地位が、あなたや家族を幸せにしますか?」

大切なのは、日々を誠実に向き合い、目の前の仕事をやり切るということです。そうすれば自ずと成果は上がっていくものです。カネやポストを手に入れるために、あなたは今の仕事を選んだのですか?

新たな一年を迎えるにあたり、今一度、「働く」原点に立ち返ってもらいたいものです。

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