77歳で博士号を取得した男性…本人に直撃した「本当に意味があったのか?」
2020年03月03日 公開 2022年07月05日 更新
博士号を取得するまでにかかったお金の実際
(鬼塚)では実際にかかる費用はどれほどでしょうか。
(吉岡)私の場合を例に挙げますと、修士課程に2年、博士課程に4年、合計6年間在籍しましたので、授業料は年100万円の6年分で600万円。入学金は修士課程と博士課程の2回で30万円×2の60万円、なので学費は合計660万円かかりました。
それ以外にかかる費用としては、博士論文を取得するには、いくつかの学会に入らなければなりませんのでその学会費が必要になります。さらに研究を深めるためにはどうしても参考書籍が必要になります。
これは出来るだけ安く購入するようにしましたが、それでもかかります。学術書は一般書籍の3倍くらいの値段がしますのでね。結局、大学院に支払う660万円以上に400万円以上、合計1千万円は超えました。
本当に時間と費用の対価はあったのか?
(鬼塚)究極の質問をさせてください。吉岡さんは、それだけのお金と時間をかけても、博士号を取得してよかったと思いますか。もし、よかったと思ったら、何がよかったか教えていただけますか?
(吉岡)結論から先に申し上げますと"よかった"と思っています。
まず、博士号を取っていなければ今回の「定年博士」を上梓し、同年代の方々に私の生き方を問うことは出来なかったと思います。
次に、何と表現すればいいか分かりませんが、自分の研究が、学術の世界からも評価されたというが自信につながりました。この自信はクライアントとの信頼も築きました。問題点を学術的な面からもアプローチできるので、クライアントは信頼してくれると思います。
さらに、博士号を取得することで一区切りすることができ、新たな次のステージをスタートすることができます。「おいおい、78歳のおじいさんが新しいステージだって、何を言うんだ」と思われるかもしれません。しかし私は大真面目です。この先も次のステージを目指します。
ちなみに次のステージは2つあります。ひとつは、本業に関するものでは、"どのようにビジネスモデルを変革すれば、企業価値を向上させられるか"というテーマに取り組み始めました。
もうひとつ、本業以外では、もっと人間としての中身を充実させたいと思っています。どん欲に新しいことに挑戦したい。具体的には近現代の歴史研究と、英会話です。学ぶことに年齢は関係ないです。いくつになっても学ぶ気力があれば学べます。むしろ、高齢の方が残り時間がないだけに必死でしょう(笑)。