「他人に謝れない親」が、子どもの性格に与えてしまう影響
2020年04月23日 公開 2022年07月04日 更新
著名人の「新型コロナウイルス」への感染が増加するなかで、自身の感染を謝罪をする対応について、賛否の声が上がっている。
もし自分が感染してしまったら、どういう対応をするだろうか? 自分が悪いと謝罪するのか、他人のせいと考えるか、環境に原因を求めて説明するのか…。ここには性格や考え方の違いが大きくあらわれる。
本稿は、新著『人間関係の悩みをスッキリ解く 5つの公式』を上梓した心理カウンセラーである石川千鶴さんに、作家エージェンシー代表でかつ自身も『花戦さ』などのヒット作品の著者でもある鬼塚忠さんが、人の性格がどう形成されていくのかについて聞いた。》
同じ出来事に対して、人の考え・感情・行動はこんなに違う。
鬼塚忠氏
(鬼塚)石川先生は、人は同じ出来事に直面したとき、考えや感情、行動は大きく違うと本で書かれていましたよね。
(石川)はい。例えば、今、世界中で蔓延している新型コロナウイルスですが、すごい恐怖ですよね。私も感染しないように日々生活しています。この新型ウイルスですが、鬼塚さんは、もし感染したらどう考えますか?
(鬼塚)もし感染したら、ですか。どうって、おそらく、感染を避けるよう必死に細心の注意を払ったけど、どこかに隙があったのでしょうね、と半ば諦めるというか。そう考えますね。
(石川)つまり、鬼塚さんは自分が悪いと考えるのですね。説明しますね。人は予想しない出来事に直面したとき、主に3つに思考回路に分かれます。
みな、同じような反応を示すわけでなく、それぞれに考え方の癖があります。その3つとは「自分否定タイプ」「他人否定タイプ」「世の中否定タイプ」です。
自分否定タイプの場合、感染の予防に怠りがあった自分が悪いと考え、そのあと、私はダメな人間だと思い込み、気持ちは落ち込みがちになります。周囲の人間に「申し訳ない。私のせいで感染し、仕事もしばらくはできなくなった」と平に謝るでしょう。
(鬼塚)確かに。もし感染したら、間違いなくそのような行動に出るでしょうね。
(石川)では他人否定タイプの場合、誰が私に新型コロナウイルスを伝染させたのだという考えになり、その感染者を探し出そうとし、あの会話の時に、マスクをしなかったあの人じゃないか、というふうに決めつけ、あの人は自分のことしか考えていないと激しく怒り、その人をとことん追求するでしょう。
世の中否定タイプはどうでしょうか。こんなウイルスを感染させたのはウイルスの蔓延を許した社会が悪い。そして、この国の政治家は国民のことをどうとも思っていない、と思うようになり、失望、あきらめの感情が出てきます。
ついには、この国の政治家たちは自分たちの保身ばかり考えてとなげき、ため息をつきます。大まかにいうとこのように「自分否定」「他人否定」「世の中否定」の3つのタイプに分かれます。鬼塚さんは、自分否定タイプでしたね。
(鬼塚)どうやら、私は自分否定タイプに属しそうですね。他人否定タイプの人、世の中否定タイプの人も私の身の回りにたくさんいます。
確かに、電車の中で足を踏まれたら、「すみません」と自分を悪く思う人、「痛いじゃないか」と踏んだ相手を責める人、「この電車は混みすぎなんだよ」と嘆く人がいますよね。
(石川)その反応で人の性格がわかります。性格は「考え方のくせ」とも言い換えられます。