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テレワークの通信費や光熱費まで会社が負担すべき? 専門家の見解は?

寺島有紀(社会保険労務士)

2020年07月09日 公開 2024年12月16日 更新

コロナ禍をきっかけに導入が進むテレワーク。歓迎の声も多い一方で、在宅勤務時の光熱費や通信費、その他環境整備の費用を会社側と従業員側どちらが持つべきかといった新たな問題も生まれている。テレワークの普及を受け、労務管理や賃金制度の面でも企業には柔軟な運用が求められるようになったといえる。

『Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ』(技術評論社)は、テレワークにまつわるさまざまな疑問を各分野の専門家が解説した一冊。労務・法務・情報セキュリティ担当者や管理職向けながら、一社員レベルでも知っておきたい身近な疑問にも答える内容となっている。

本稿では同書より、テレワークに時に発生するさまざまな費用負担の原則ついて、社会保険労務士であり寺島戦略社会保険労務士事務所所長の寺島有紀氏による解説をお送りする。

※本稿は足立昌聰 編著、寺島有紀・世古修平・笹川豪介・関原秀行 著『Q&Aでわかる テレワークの労務・法務・情報セキュリティ』(技術評論社)より一部抜粋・編集したものです。

 

テレワーク絡みの費用は会社が負担するべき?

テレワーク(テレワークにもいくつか形態がありますが、本稿では特に在宅勤務を想定しています)を行う際、従業員が日々生活を行う住居で行われるという性質上、その通信費用や光熱費の取扱いはあらかじめ決めておく必要があります。必ずしも会社が負担する義務はありませんが、ルールについては就業規則やテレワーク規程に記載が必要です。

労働基準法第89条において、就業規則に定めなければならない事項というものが明記されており、この中で「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合」においては、これらに関する事項を就業規則に定めなければならないと規定されています。

そのため、テレワーク時の通信費用や光熱費について、従業員負担とする場合には事前に就業規則・テレワーク規程にその旨を定めておく必要があります。

では具体的にどのような費用負担について定めておくべきでしょうか。いくつか例を挙げながら見ていきましょう。

 

テレワーク中の通信費は会社が負担すべき?

【1】モバイルPC、スマートフォン等の情報通信機器本体の費用
テレワークを導入するにあたり、まずは常に必要となるものとしてモバイルPC等の情報通信機器があります。

もともとオフィスで使用していたモバイルPC、スマートフォンをそのまま継続して活用してもらう場合には特段追加で費用はかかりませんので問題はないのですが、対象者の拡大等で新たに情報通信機器の購入が必要といった場合、導入に際して必要となる機器費用を従業員に負担させるというのは考えにくく、またその合理性もないため、通常は会社が負担することが一般的です。

【2】通信費
テレワークで使用する情報通信機器の通信回線費用については、オフィスで使用していたモバイルPC、スマートフォンをそのまま継続して活用してもらうケースだと、通常その通信費用も会社負担となっていますのでそのまま会社負担としている企業が多いと考えられます。

ただ、従業員個人が契約している自宅の通信回線を利用することも多いかと思います。この場合の通信回線費用をどうするかという問題があります。また、もし従業員の自宅に通信回線を引いていない場合ですと、通信回線の工事費用等も必要となってしまいます。

これら通信回線費用や工事費用はどのように考えたらいいのでしょうか。まず通信回線費用については、従業員のプライベートでの使用分と業務使用分の切り分けが困難ということもあり、基本的には個人負担としてもらうケースが多いように考えられます。

ただ、テレワークが週に1、2回とその頻度が少なければ、たいした問題にならないかもしれませんが、これが週5日フルで在宅勤務をしてもらうとなった場合、一定金額を在宅勤務手当等の名称で支給する企業も少なくありません。

また、もし通信回線を引いていない場合の工事費については、全額会社負担という場合のほか、今後従業員の個人利用もできるようになるという事情も鑑み、実費のうち一部自己負担を求めるケースもあります。最近では、そもそも回線の工事には時間がかかることからいわゆるポケットWi-Fi等を会社から支給するケースもあります。

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テレワークでの水道代、光熱費はどうなる?

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