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社会

1億円を超え、4000人以上が集結…苦境の宿泊施設を救う「無名サイト」が誘った涙

竹内謙礼(有限会社いろは代表取締役)

2020年07月08日 公開 2024年12月16日 更新

 

「見捨てられていない」金額だけではない声援に涙


飛騨古川 八ツ三館

最後に、種プロジェクトに参加した宿を一軒取材してみることにした。

「サポーターのみなさんのコメントを読んで、涙が出てきました」

そう話すのは「飛騨古川 八ツ三館」の女将・池田理佳子さん。コロナ禍で3月中旬からキャンセルが続出して売上は激減。しかし、種プロジェクトのおかげで、気持ちが奮い立ったと言う。

「常連のお客様が心配して、メールや電話で『私たちにお手伝いできることはない?』とおっしゃってくれるんです。そこで種プロジェクトの話をすると、みなさんすぐに行動を起こして、支援してくれたんです。

それまではうちの宿が忘れられてしまうという怖さがあったんですが、集まったコメントをひとつひとつ読み返して、『見捨てられていないんだ』と思って、宿を続ける勇気が沸いてきました」

この原稿を執筆している時点で、八ツ三館のサポーター数は98名。サポート額は320万円を超えていた。週末の集客は復調の兆しだが、平日はまだまだ厳しい状況という。しかし、その中で、種プロジェクトに寄せられる前払いとコメントの数々は、確実に池田さんの励ましになっている。

取材する前に、八ツ三館の女将の池田さんのコメントを読んで、私自身も心を動かされて2口1万円のサポートをさせてもらった。些細な金額かもしれないが、これで宿泊施設で働くみなさんが"未来"を見ることができて、私自身も、飛騨への旅行の"未来"を持ち続けることができれば、安い金額だと思った。

そう考えれば、種プロジェクトはコロナ収束後の「未来」を見せてくれる、貴重な前払いサービスと言えるのではないだろうか。

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