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「営業は直接会ってナンボ」だったのに…コロナ前にすがる営業マンを突き放す“大変化”

藤本篤志(グランド・デザインズ代表取締役)

2020年07月23日 公開 2022年03月04日 更新

 

オンライン商談の時代はすでに予期されていた

しかし、その考え方は改めたほうがよさそうです。

みなさんが知るべきことは、コロナと共存しようが、コロナが終息しようが、日本においても営業大改革がいよいよ始まったということです。

営業のあり方は、二度とコロナ前の姿には戻りません。なぜなら、テレワーク営業の利便性は、新型コロナ災害時だけの一過性のものではなく、今後も広がりをみせるのはまちがいないからです。新型コロナ災害は、その広がりを後押ししたにすぎません。

それを示唆する世界の動きも見逃せません。テレワーク先進国の欧米では、1980年代頃から、「インサイドセールス」と「フィールドセールス」という2種類の営業を使い分ける試みが始まっていました。

インサイドセールスは、電話、Eメールなどを中心に、商談アポを入れるまでの役割を持つ営業マンです。フィールドセールスは、日本と同様、足で稼ぐ商談からクロージングまでの役割を持つ営業マンです。

2017年度のデータによると、インサイドセールス対フィールドセールスの比率は、米国で5対5、欧州で1対2です。そして、欧米の最新事情では、インサイドセールス担当が、フィールドセールスの領域である商談からクロージングまでをカバーする一気通貫型の営業スタイルが徐々に増えつつあるようです。

なぜ、そのようなことができるようになってきたのか? その鍵を握るのが、オンライン商談です。「私はITが苦手だ」と自慢げに嘯くのは勝手ですが、じつは、会わなくても顔を見ながら営業できるオンライン商談の時代は、足音を立てて着実にやってきていたのです。そのことに、私たち日本人が気づいていなかっただけなのです。

 

営業のあり方を根底から変える大革命

オンライン商談は、営業のあり方を根底から引っくり返す威力があります。従来の直接対面商談スタイルの最大のデメリットは"移動時間"でした。

業種業態や営業組織の成熟度によって幅がありますが、1日平均100分から240分は、移動に時間を費やしています。しかも、自動車販売や内装展示のような来社、来店が可能な商材を扱っていない限り、営業での移動を避けることはできません。その分、1日の商談時間量に制約が生じていたのです。欧米の合理性は、この移動時間の削減に先に目をつけたことになります。

オンライン商談は、従来のスタイルでは取り除けなかった移動時間というデメリットをぶっ飛ばしてくれました。極論を言えば、1日100分から240分の移動時間をすべて商談時間に変えることが可能になったのです。

これは、単に量を増やしただけではありません。営業の"質"を想像以上に引き上げる効果があるのです。

以上のことから、1つの未来像が見えてきます。

「従来の直接対面商談とオンライン商談の双方のメリットをうまく使い分ける」

それが、今後の"新しい営業様式"です。

私は、この新しい営業様式のことを"テレフィスハイブリッド営業"と名づけています。テレワーク営業と従来のオフィスワーク営業を混合させるからです。このテレフィスハイブリッド営業の威力に気づいている人は、まだわずかです。

営業大改革がもたらした"新しい営業様式"にいち早く取り組む会社や営業関係者が、今後の営業新時代をリードしていくことになるでしょう。

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