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人の数倍の結果を出す人が「自分の脳をコントロールしている」理由

ムーギー・キム&池原真佐子(MANABICIA代表)

2020年08月31日 公開 2023年01月13日 更新

世界的VIPが絶賛した「コミュ力」の秘訣を”グローバル・エリート”ことムーギーキム氏が初めて明かした新著『世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミニュケーション能力を劇的に高める33の教訓』(PHP研究所)。

ムーギー氏と、プロコーチのMANABICIA代表で、現在は社外メンター事業を行っている池原真佐子氏との対談をお届けする。(構成・文:田村知子)

 

10億円の案件を成立させた人がひそかに続けていたこと

ムーギー ・キム氏(以下、ムーギー ):本日はプロコーチの池原真佐子さんをお迎えして、「コーチングの基本10か条」を伺っていきます。前半では、コーチングの基本5か条「1、相手の話を聞く 2、変化を急かさない・見逃さない 3、ジェラシーを制する 4、ゴールを設定する 5、ゴールを自分の『好き』にひもづける」を伺いました。

では、ゴールとなる目標が自分にとっての「好き」かどうかを自問したあと、6つめのポイントはどうなりますか。

池原:6つめのポイントは「イメージング」です。

ムーギー:イメージングとは、どういうことでしょう?

池原:設定したとんでもないゴールをすでに達成しているイメージを、自分の脳に記憶させるということです。例えば、あるクライアントの部署の営業成績が非常に悪く、メンバーの士気も低いというお悩みをうかがいました。その時には、「数カ月以内に数億円の契約を取ることをイメージしましょう。契約を取った瞬間や、取った後に祝杯をあげる様子を具体的にイメージしてください」とお話ししました。それから彼は、毎晩そのシーンを強くイメージして、実際に5年契約で10億円の案件を成立させることができたんです。

ムーギー:少し聞いただけだと、なんだか怪しげな話にも思えますが……成功したイメージを強く思い浮かべることで、具体的に何が変わってくるのですか。

池原:私たちはすべての情報を、自分の脳で取捨選択して受け取っています。その脳のフィルターが目標達成に向けて動き出すためには、脳に「自分がすでに達成している状態」を錯覚させることが大切になってきます。

ムーギー:脳に錯覚させると、それまで「どうせ無理だろう」「やっても無駄だ」といったネガティブな情報を選択していたのが、「目標を達成するにはこうしよう」といった自分を後押しするようなポジティブな情報を選択するようになる?

池原:その通りで、行動が変わってきます。これはスピリチュアル的な意味ではなくて、自分の行動や日々の小さな意思決定が、そのイメージによってかなり変わってくるということです。

ムーギー:イメージングでのコツはありますか?

池原:イメージする時には、自分起点にすると、よりパワフルになるといわれています。例えば、目標を達成してチームが喜んでいるとイメージするときには、映画のスクリーンに映し出されるようなシーンをイメージする人が多いんですよね。そこには、メンバーと一緒に喜んでいる自分もいる。そうではなくて、自分の視点から見て、メンバーの喜ぶ顔が目の前にあるようにイメージするということですね。

ムーギー:なるほど。では、7つめのポイントは?

池原:「セルフトーキングを意識する」ことです。私たちは朝起きて、夜眠るまでの1日に、無意識も含めて5万回、自分に語りかけているといわれています。

ムーギー:1日に5万回とは大忙しですね。

池原:大忙しです。しかも、その9割近くがネガティブなものだともいわれているんですよね。ただ、それは仕方がないことで、人間には昔から、生き残るためにネガティブな情報をより敏感にキャッチして、行動を規制する傾向があります。

ですから、まずは1日、1時間限定でもいいので、自分がどういう時に、どういうパターンのセルフトーキングをしているかを意識してみてください。このセルフトーキングは、自分のセルフイメージ、自分とはこういう人間であるという意識を作る大きな要素になっています。セルフトークを意識することで、セルフイメージを理解することが大切なんですね。

ムーギー:セルフトーク、セルフイメージを意識して理解することに、どんな重要性があるのでしょうか。

池原:人はセルフイメージに沿った行動しかしません。例えば、自分はダメな人間だと思っている人は、ダメになるような選択を無意識のうちにする。そこで安心してしまうんですね、やっぱりダメじゃないかと。

ムーギー:「どうせオレなんか、タバコをやめられるはずはないよな」と思っていると、いつまでもプカーッとふかしてしまう、とか。

池原:そういうことですね。ですから、セルフイメージを変えることで、行動の選択を変えていく。これは組織にとっても重要なことで、上司は部下のセルフイメージを高めてあげることが非常に重要です。

ムーギー:それは「自己肯定感を高める」とも言えますか。

池原:そうですね。自らの自己肯定感を高めることも大切ですし、組織であれば、チームメンバー、部下、新人社員の自己肯定感を高めてあげること。それが、組織の生産性の向上に直結していきます。

ムーギー:自分、あるいはチームメンバーの自己肯定感を高めるためには、どんなことが大切ですか。

池原:これは前半でお話しした「信頼関係」にも通じてくるのですが、目の前の相手を大切にすることですね。あなたが大切だというメッセージを伝えていくことで、組織の信頼関係が強くなっていきます。例えば、忙しいマネジャーやリーダーであれば、対面では難しい場合でも、メールを送る時に「君がいてくれて助かったよ、ありがとう」などと一言添えるだけでも違ってくると思います。

ムーギー:なるほど、感謝の気持ちをこまめに伝えるということですね。ちなみに、拙著『世界トップエリートのコミュ力の基本』では「その人への評価者の前で『縁の下の力持ち』的貢献を、意図的に褒める」ことの重要性を論じています。

私が世界的に影響力の大きい資産運用会社にバイサイドアナリストとして勤めていたころ、取引先の担当者にメールで謝意を伝えるときは、その上司のアドレスもCcに入れて送るようにしていたんです。そのことで担当者からは随分喜ばれましたし、信頼関係を強化することができました。どんな仕事でも、仕事相手に「あなたは重要だ」というメッセージを伝えることは、相手のモティベーションを大いに高めますよね。

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プロコーチが注目する「無意識の声」

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