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「飲み会」という武器を封じられた上司…テレワークでは“人間関係”で部下は動かない

小早川鳳明(企業再建プロフェッショナル)

2020年09月04日 公開 2022年06月02日 更新

 

これからは、人間関係に頼らない

実は、遠隔でチームを動かすスキルは、新型コロナウイルスが拡大する以前から管理職が身につけるべき必須スキルとなっていました。ビジネスのグローバル化によるグローバル拠点の増加、子育て社員の在宅勤務の拡大、働き方改革による定時帰宅の奨励です。

遠隔でチームを動かすスキルは、テレワーク推奨期間が終了したとしても、管理職にとっては重要なスキルとなってきました。

リーダーと部下が顔を合わせ会議室にこもってミーティングをしたり、一緒に深夜まで残業をして苦労を分かち合う機会は減少しました。また、歓送迎会やプロジェクトの打ち上げ、休日にゴルフといった上司、部下の人間関係を深める機会は急速に失われました。

このように職場を取り巻く環境が変化しているなかで、成果を出せるビジネスパーソンやリーダーに求められるスキルは大きく変化してきました。もはや、「部下との信頼関係を構築するスキル」はそれほど大切なスキルではありません。

「長時間顔を合わせ、宴会を行い、同じ釜の飯を食べることで培う信頼関係を活用して、部下を動かすスキル」も通用しません。ともに過ごした時間に比例して積み上がる「上司、部下の人間味のある人間関係」に頼らずに、部下を動かすことのできるスキルが今のビジネスパーソンには重要なのです。

私自身はこれまで、海外の会社経営を日本にいながら管理してきました。数千億円規模のM&Aの統括を行う際には、一刻を争う意思決定が求められるなかで、電話越しに世界各国に散らばった関係者の説得に当たってきました。

外資系のコンサルティング会社に勤めていた頃には、子育てのためテレワークをする女性のチームメンバーを動かしてきました。このように、実際に対面では会うことができない環境でも、やり方を身につければ部下や組織をコントロールすることは可能だったのです。

 

オンライン会議で、空気を読むのは難しい

これまでは顔を合わせて会議をすることで、真剣に聞いたり納得できていた相手の話でも、オンライン会議で画面を通して話を聞くことで、いつもよりも納得感が得られなかったり、相手の話が他人事だと感じた経験はないでしょうか。

あなたの部下もオンライン画面を通した上司の指示には鈍感になってしまっているかもしれません。実際、上司であるあなたがオンライン会議で部下を叱っても、部下の心に火をつけるのが難しいシーンもあると思います。オンライン会議で画面を通して部下のやる気に火をつけるのは難しいでしょう。

このようなことが起こるのは、これまでの対面で行う会議では活用できていた、微細な表情や声のトーンを変えることで、褒めたり叱咤激励したり、にらみをきかせたりといった、五感を使った指示や指導がオンライン会議ではできなくなったためです。

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「画面越しでも、相手の心に響く説得術」を身につける

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