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社員を苦しめる「絶対に達成できない目標」…KPIを魔の指標としないための方法

HRインスティテュート

2020年10月08日 公開 2023年01月05日 更新

その目標は組織と個人にとって一貫したものになっているか

【Plan2:KPIの設定と運用計画の策定】
KSFの特定ができたら、それを定量的な目標数値に落とし込んだKPIを設定します。この際に意識するのは「SMART」な目標設定です。

・S(Specific):具体的であること
・M(Measurable):測定できること
・A(Attractive):魅力的なものであること
・R(Realistic):現実的であること
・T(Time-bound):期限が明示されていること

KPIの水準は、その水準が達成されればKGIが達成されている、という整合性を持って決めることが大前提です。ただし、KPIはKGI以上に現場の納得感が重要ですので、設定された水準については現場の担当者と認識を合わせるようにします。

企業・組織単位のKGIおよびKPIが設定できたら、それを部門、部署、個人単位に落とし込んでいきます。企業単位から個人単位までのKGI・KPIに一貫性があることが理想的です。

最後に、KPIの運用計画を策定します。ここでは、設定されたKPIを元に、「誰が」「いつまでに」「何を」「どの程度」行うか、というKPIの具体的な行動計画を策定します。

そして行動計画をチーム内で共有し、お互いの役割分担と関係性を明確にすることで、KPIの達成に向けた環境づくりを行います。

 

単にパーセンテージを追わせるだけの厳しい目標は組織を壊す

【Do/Check:進捗の見える化と評価の共有】
KGI・KPIの設定が完了したら、実際に運用計画に沿って各自が行動を開始します。この段階で行うべきことは、「進捗の見える化」「達成度の評価」「共有・振り返りの場の設定」の3つです。

まずは「進捗の見える化」です。KPIを設定した項目に対し、何のデータを、いつ、どこから、どのように収集してくるのかをあらかじめ決めておき、収集したデータをグラフ化することで、いつでも進捗が分かりやすく確認できる状況をつくっておくことが重要です。

次に「達成度の評価」では、Green(当初計画通り進捗している)/ Amber(当初計画よりも遅れているがキャッチアップ可能)/ Red(当初計画よりも大幅に遅れておりKGI・KPIの見直しが必要)などの3段階評価でKGI・KPIを評価することが有効です。

三段階の水準は、「現状のペースで期日までの目標達成が可能かどうか」をベースに検討するのが良いですが、Amberの設定水準には注意が必要です。

甘く設定しすぎると実際は進捗が芳しくないにもかかわらずGreenの状態が続き、ある日突然Redに転落して目標達成が叶わなくなってしまいます。

逆に厳しく設定しすぎると、少しの対策で回復できる水準にもかかわらず、すぐにAmberに達してしまい、不要な報告や改善策の検討などが発生し、機能不全に陥ります。

最後に「共有・振り返りの場の設定」を行います。KPIは目標達成に向けた行動がどれくらいできているかを確認するのと同時に、KPIの達成状況を通じてコミュニケーションを行うためのツールでもあります。

単にパーセンテージを追うだけではなく、実際に行ったアクションの振り返りや、成功・失敗要因の共有を通じて、チーム全体で目標達成に向けた相互サポートを行う場を定期的に持つことが重要です。

 

「問題」を発見し、「課題」として捉えて解決策を考える

【Action:ギャップ分析と改善策の検討】
Checkの段階でAmberやRedの評価となったKPIに関しては、Actionの段階では以下のプロセスで要因を分析し、改善策を検討する必要があります。

(1)あるべき姿と現状のギャップ=「問題」を発見する
(2)問題がどこで発生しているかを明確化する
(3)問題が発生した原因を分析し、真因を特定する
(4)原因を踏まえて取り組むべき課題と解決策を設定する

ポイントは、真因を特定することで、今現在困っている事象である「問題」を、解決すべきテーマである「課題」に置き換えることです。それにより、場当たり的な対応策ではなく、根本的に問題を解消する課題解決策を講じることができます。

注意点としては、KPIが達成できていないからといって、安易にKGIを見直すことはしない、ということです。その場合、投入リソースの増加策を検討する、KPIを進捗が順調な他の組織や人に再配分する、ことが考えられます。

また、KGIに対するKSFの抽出がうまくいっておらず、KPIのみが達成できていないパターンもあり得るので、その場合は改めてKSFの抽出、KPIの設定をやり直す必要があります。

期中のモニタリング以外にも、期末には年度を通したKGI・KPIの達成状況の確認、および次年度に向けた振り返りを行います。

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「見える化」の言葉に潜む落とし穴

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