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ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。…登録者140万人YouTuberが見つけた “バズる曲”の共通点

おしら(ボイストレーナー・YouTuber)

2021年07月21日 公開 2024年12月16日 更新


しらスタ【歌唱力向上委員会】「【ボイトレ】歌が下手になるかもしれない7つの悪い習慣」より抜粋

コロナ禍によってリアル空間で音楽を楽しみづらい昨今、ネットをきっかけにブレイクするミュージシャンが増えている。

ボイストレーナーであり、140万人以上のチャンネル登録者数をもつYouTubeチャンネル「しらスタ【歌唱力向上委員会】」を運営する「おしら」さんは、近ごろ流行する曲の特徴として「カラオケで歌わせる気がない」点を挙げる。

どういうことなのか。自身が音楽にのめり込むようになった経緯とともに、令和時代の音楽のあり方について語る。(聞き手:Voice編集部 中西史也)

※本稿は『Voice』2021年8⽉号より⼀部抜粋・編集したものです。

 

「お前、音痴じゃね?」と言われて

――おしらさんはフリーのボイストレーナーとしての活動とともに、YouTubeチャンネル「しらスタ【歌唱力向上委員会】」を運営されています。

最新の人気曲について、歌詞やメロディの構造から歌い方のコツまでを楽しく解説する動画が話題を呼び、いまやチャンネル登録者数は140万人超え(2021年6月時点)。まず、おしらさんの音楽との出合いについて教えてください。

おしら いまでもよく覚えていますが、小学6年生のとき、CDショップの店内を歩いていると、マライア・キャリーのCDが目に飛び込んできたんです。ジャケットのデザインなどに思いがけず惹かれて、衝動的に購入していました。

当時、マライアの名前は聞いたことがあったけれど、曲をちゃんと聴いたことはありませんでした。ひとたび聴くとその歌唱力に圧倒され、他の洋楽にも興味をもち始めたんです。以降はいろいろなミュージシャンを聴き漁るようになり、すっかり洋楽にハマってしまいましたね。

そう話すと、私は小学生のときに多くの洋楽に触れていたくらいだからもともと歌唱力があったと思われるかもしれませんが、じつは当初は歌が下手くそだったんですよ(笑)。

――それは意外です。いまはボイストレーナーとして活動し、ご自身のYouTubeチャンネルではいつも美声を響かせていますから、てっきり昔から上手なのだと思っていました。

おしら とんでもない。中学生のときに友人とカラオケに行ったとき、「お前、音痴じゃね?」と言われるような歌唱力でした(苦笑)。

歌うこと自体は好きだったのですが、それから人とカラオケに行くのが嫌になって、中学・高校と一人でのカラオケ、いわゆる「ひとカラ」に熱中するようになりました。

地元の「カラオケBanBan」に週6回は通っていましたよ(笑)。学生だから料金は安いし、当時所属していた学校のダンス部は昼休みだけの活動でしたから、放課後は時間があったんです。

――それだけ「ひとカラ」に通ったのは、ご自身のことを歌が下手だと指摘してきた相手を見返したいという思いもあったのでしょうか。

おしら そういう気持ちはありませんでしたね。単純に歌うのが楽しかったんですよ。しかも一人であれば、誰にも邪魔されずに自由に歌えますから。上手くなるための練習というよりも、ただただ自分の好きな楽曲を楽しんでいました。

――学生時代から歌うことが好きな一方、人前で本格的に歌う機会はあまりなかったと思います。どのようにして現在の活動に繋がっていくのでしょうか。

おしら いま思えば、大学入学後にアカペラサークルに入ったことが転機でした。サークルに参加して間もなく、新入生お披露目歌唱会があったんです。

私にとっては、数年ぶりに人前で歌う機会。もちろん緊張していて、しかも歌い始めて3秒くらい経ったとき、オーディエンスから「おお!」という声があがった。

その反応を受けて「また自分の歌声が馬鹿にされているんだな……」と思ったら、どうやらその逆で、私の歌が上手いと感じてもらえたようでした。そんな経験もあって、いつしか誰かの前で歌うことへの苦手意識はなくなっていき、徐々に歌唱の機会が増えていきました。

――大学卒業後はボイストレーナーとしてボーカルスクールに所属されました。歌を教える側に回ったことで、歌に対する意識に何か変化はありましたか。

おしら スクールに通う方の歌の上達を手助けするのはもちろん、いかに歌うことそのものを楽しんでもらうかを意識するようになりました。

ただ、ボーカルスクールに在籍していた4年間では200人以上にレッスンしてきましたが、「歌の先生」というよりも「接客業」に近かったように思います。

というのも、お客さんには歌唱力の向上をめざす人もいれば、誰かに自分の歌を聴いてほしいとか、たんに人と一緒に歌いたいなど要望はさまざまです。

そういうお客さん一人ひとりの願いをできるだけ叶えてあげたかった。あくまでも相手の人生を豊かにすることが最優先で、その手段として歌を教える、という姿勢で仕事に臨んでいましたね。

ボイストレーナーのなかには、一流のミュージシャンを個人で教えている方もいます。一方で自分は、アマチュアのいろいろな方々と接してきました。

プロのシンガーを輩出したり指導したりするのは素晴らしいことですが、同時に、アマチュアへの指導もボイストレーナーとしてやりがいや価値があると思っています。

いま私はフリーのボイストレーナーとして独立していますが、お客さんに何よりも音楽に親しんでもらいたいというスタイルは変わっていません。

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「カラオケで歌わせる気がない曲」の流行

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