金メダル・侍ジャパンが五輪で倒した相手は「間違いなく強敵だった」と言える理由
2021年10月06日 公開 2024年08月08日 更新
1年の延期を経て、未だ続くコロナ禍の下で執り行われた東京2020オリンピック。日本の代表選手団は数々の種目で功績を残した。その中の一つに"侍ジャパン"が挙げられる。強豪国であるアメリカに見事勝利し、金メダルを獲得した。
多くのプロ野球選手からフォローされている野球著作家、ゴジキ(@godziki_55)さんは、東京オリンピックでの野球について記した『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会 』を出版した。
本稿では、同書より侍ジャパンが試合した相手国の強豪選手について解説した一説を紹介する。
※本稿は、ゴジキ(@godziki_55)著『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会 』(インプレス刊)より一部抜粋・編集したものです。
元メジャーリーガーが多数参戦
東京五輪には実績のある元メジャーリーガーも参戦していた。アメリカ代表には、メジャーリーグで最多奪三振のタイトル獲得経験を持つスコット・カズミアーや、通算137セーブ、147ホールド、防御率2.90を記録しているデビット・ロバートソン、14球団を渡り歩き複数の二桁勝利のシーズンを誇るエドウィン・ジャクソンといった大物投手が参加した。
野手では、シーズン40本塁打を記録したトッド・フレイジャーが選出され、アメリカがシドニー五輪以来の金メダルを目指すのに十分な戦力が揃っていた。
また、イスラエル代表には、WBCでチームを牽引したダニー・バレンシア、さらに、WBCでアメリカ代表を優勝に導いたイアン・キンズラーも今回はイスラエル代表としても出場した(2020年3月に市民権を取得)。韓国と同一リーグとなるイスラエルは、台風の目となるか注目であった。
日本の初戦の相手であるドミニカ共和国からは、メジャーリーグで2年連続本塁打王に輝いたホセ・バティスタや、実績十分のメルキー・カブレラが出場。
メキシコからは、メジャー通算317本塁打で2度のシルバースラッガー賞の獲得経験があるエイドリアン・ゴンザレスや、オリバー・ペレス、フェルナンド・サラスが選出された。
NPB在籍の外国人も多数参戦
東京五輪には、NPB球団に在籍する多くの外国人も参加した。初戦のドミニカ共和国には巨人軍のC.C.メルセデスが立ちはだかっていた。
メルセデスは今シーズン、怪我あけながら6試合に登板して5勝1敗防御率2.31と、前半終了時点で見ても、キャリアハイといっても過言ではない成績を残していた。
さらに、投手として5回から6回まで試合をしっかり作れるという、短期決戦向きのタイプでもある。日本にとっては非常に厄介な投手だ。またメルセデスと同様、巨人のエンジェル・サンチェスも代表に選出された。
野手陣では、これまた巨人に在籍経験のあるホアン・フランシスコが、アメリカ大陸最終予選においてドミニカ共和国の4番として、3試合連続ホームランなどの活躍を見せている。
巨人在籍時は思うような成績を残せなかったフランシスコだが、今回は注意すべき選手であった。さらには日本では親しみのある元中日のラウル・バルデスも出場した。
このようなメンバーが揃った中南米の強豪、ドミニカ共和国は、やりづらい相手だったと言える。結果、メルセデスのフル回転の活躍もあって、野球競技ではドミニカ共和国初のメダル獲得となった。
アメリカ代表には、タイラー・オースティンとニック・マルティネス、スコット・マクガフが選出。特にオースティンとマルティネスは、アメリカを銀メダルに導く活躍を見せた。