どれを選んでいいか迷ったり、自分の選択に自信が持てなかったり。選ぶことに対する苦手意識を持っていませんか?リラックスして、前向きに選択をするためのヒントを心理カウンセラーのきいさん(@kiitanuma)に伺いました。
※本稿は、『PHPスペシャル』2021年11月号より一部抜粋・編集したものです。
「自分らしい選択」ができていますか?
人は1日に約9千回~3万回の選択をしているというデータがあります。膨大な数ですから、皆さん無意識に選んでいることがほとんどだと思いますが、中には選ぶときにネガティブな気持ちや抵抗感がある人も多いようです。
最近はSNSやYouTube、ネットニュースなどでさまざまな情報を得られるようになった一方で、「選択肢がありすぎて迷い疲れる」というケースも見受けられます。
また、コロナ禍によってリモートによるやりとりが増えたことで、常に通知が来たり、何らかのレスポンスが必要だったりと、個人発信せざるを得ない場面にたじろいでいるうち、他者の意見に翻弄されやすくなっているようにも感じます。
一方で、誰でもネットで気軽に発信できるのはいいのですが、中には「〇〇してはいけない」「絶対にすべき〇つのリスト」といった表現のものも。断定的な言い方をされると、人はそれを答えだと思ってしまいがちです。
すると、本来自分にある選択基準がずれてしまったり、それに従わないといけないと焦ってしまったりすることもあるでしょう。「自分の意思やペースで選択することを妨げられて疲れる」というケースもあるのです。
とはいえ、すべてに対して意思決定が重要というわけではありません。「ランチはどのお店にしよう?」「この服、赤も黒もいいなあ」など、「どの選択肢も良い・どちらでも構わない」ときもありますよね。人に決定をゆだねることがあってももちろんOKです。
問題は、蔓延した選択疲れによって、大切な場面で自分らしい選択ができなくなってしまうこと。その原因に寄り添い、受け止めながら、少しずつ選ぶ自信を取り戻していきましょう。
選択疲れを起こしやすい人の特徴
(1)自分で決められない
流れに身を任せることで、自分の選択に責任を持つことを避けられる一方、「ラクだけど不満」というねじれた精神状態になりやすいです。たとえ成功したとしても、「〇〇さんが決めたことに従っただけ」と考え、自信が育ちません。自信がないから決められないし、人に従うだけだから自信が育たない、というループに陥ってしまいます。
(2)人からの要望を「強要」と感じてしまう
「ちょっと〇〇しておいてくれる?」「これ、どっちがいいと思う?」といった軽いお願いや問いかけに対して、あるいは明確にそういった言葉がなかったとしても、「相手の期待に応えなければ!」という意識を持ちがちです。実際はそんなことはないのに、「強いられている」と感じてしまうので、一つひとつの選択に神経を使うことになり、精神的に疲れてしまいます。
(3)「こうあるべき」「〇〇せねば」思考が強い
完璧主義で理想が高い人に多いです。自分で何でも対処しようとし、どの選択にも責任を持とうとします。選ぶ際には情報収集などの入念な準備が必要になり、1つの選択に時間がかかります。また、失敗したときの自分への失望感や、思うような評価をしてくれなかった相手へのいら立ちも大きくなりがちです。
(4)人の反応が気になりすぎる
「どう思われるか」「こういうふうに見られたい/見られたくない」ということに意識のほとんどを使っています。自分の優先順位が低いので、「自分はどうしたいか」が後回しになったり、本当は心の中には選びたいほうがあるのにそれを選べなかったりします。