答えがわからないから、人生は面白い
著者は願いを表現する前に心を開くことを怠ったため、子供の時の10の願いは自分を本当に幸せにするものにはならなかった、と振り返っています。一方で、私はその寄り道は避けられないものだったような気がします。
物もお金も欠乏していた当時のジムは、願い事を書きだす前に心を開いたとしても、似たような内容になったのではないでしょうか。つまり、本当の願いというものは、タイミングによって変わるものなのではないか、ということです。
それに対して、何が未成熟で、何が望ましいということを決めつけるのも乱暴だと考えられます。人の願い事を周りの人があれこれと評価すべきでもないとも言えます。
それでも、自分の今の行動に対して自信を持ち、また次の願いに移していくうえで、自分の内面を見つめなおすことはけっして無駄ではありません。与えられた命を大切に生きていくなら、願い事あるいはビジョンを定めて、自分の納得した人生にしたいものです。
本書は一人の半生を振り返ったものではありますが、そこには再現性や普遍性が込められています。著者の人生を疑似体験することは、後悔のない人生を歩むための参考になるはずです。まさに読書の価値を認識できる一冊ではないでしょうか。