痛点押しの4つの基本
(1)痛点を探す
押したときに圧痛(圧迫することで生じる痛み)を感じたら、モヤモヤ血管ができている証拠です。痛点は1つだけとはかぎらないので、ほかにも痛みを感じるところがないか、周辺も押して確認してください。
(2)押す力は親指のツメが白くなる程度
一点に集中し、親指の腹で、垂直に押します。一定の力でギューッと圧をかけるようにするのがポイント。深く息を吐きながら、親指のツメが白くなる程度の力加減が目安です。親指が痛い場合は、太めのペンなどで代用を。
(3)15秒押し、ゆっくりはなす
長く押せば効果が高まるわけではありません。適切な時間は15秒程度で、持続的に一定の力で押し続けることで、血流を遮断し、効果を発揮します。また、ゆっくり指をはなすことで、血流がすぐに戻るのを防ぐことができます。
(4)1日3回、2週間続ける
1日3回がおすすめですが、むずかしければ、1、2回から始めてください。継続することが大切なので、「朝起きたらまず押す」というように習慣化しましょう。2週間が目安ですが、3日以内に効果を感じる方も多いようです。
360°痛点押しで、まるっとひざ痛解消
・内側(イラスト左)
もっとも多いのが、ひざの内側の痛みです。イスに座ってラクな姿勢をとり、ひざの力を抜ぬき、かかとは床につけます。ひざ小僧をつかんで足を開き、ガニ股のような姿勢になり、ひざの内側が見えるようにします。お皿のすぐ内側A を始点に、B、C、Dに向けて、それぞれ押していきましょう。
Aが痛い場合は「大腿骨内顆(だいたいこつないか)」とよばれる骨膜、Bは「鵞足部(がそくぶ)」と呼ばれる骨膜、Cに痛みがあるようなら「関節板基部」という関節を包んでいる皮膜の一部、Dが痛い場合は滑膜(かつまく)に生じているモヤモヤ血管の痛みということになります。
・外側(イラスト右)
内側と同じようにイスに座り、ひざの外側が見えるように足を内側に倒します。イラストにある4つのポイントを中心に、親指で押して痛いと感じるポイントを探りましょう。
ひざの外側に痛みを感じる人は、「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」という炎症が起きている可能性があります。滑膜にモヤモヤ血管ができて腫れている場合が多いのですが、レントゲンにはうつりません。超音波診断装置(エコー)を使うと、モヤモヤ血管のせいで炎症が起き、本来ならうすいはずの滑膜が、分厚い層になっていることが確認できます。
・前側(イラスト左)
ラクな姿勢でイスに腰かけ、かかとを床につけたまま、片方の足を前に伸のばします。イラストにあるお皿の上下の部分を押して痛みを探りましょう。ひざの前側は、ひざ下の痛みと表現されることが多く、高齢の方によく見られる痛みです。とはいえ、10代や20代の方も少なくありません。
半月板やお皿に原因があると思われがちですが、実際には、原因がはっきりしないことが多くあります。このような場合は、ひざ小僧のすぐ下にある「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」という組織にできたモヤモヤ血管が原因であることが少なくありません。ここは炎症が起こるとすぐにモヤモヤ血管ができやすい場所でもあるのです。
・裏側(イラスト右)
イスに座り、イラストのように、ひざの裏側の中心から、上下左右に向かって押していきましょう。このとき、ひざを直角に曲げると押しやすくなります。ひざの裏に痛みがある場合は、ひざの内側、または外側の筋肉が骨にくっつく部分に炎症が起きていることが考えられます。
特に、ひざ裏の中央が痛む場合は、ひざの裏側にある脂肪組織のなかにモヤモヤ血管ができています。また、日常の動作のなかでひざをしっかりと曲げようとしたときに、ひざ裏に痛みが走るという方は、半月板のうしろに損傷があることも考えられます。