写真:林ひろし
人生100年時代といわれる昨今だが、人生が長くなるほど、仕事・家族・老後と、それだけ心配や悩みが増えていく。
また、あらゆる場面でコミュニケーション能力を求められる時代へと変わり、人間関係を中心とする悩みや不安を抱えている人の声を頻繁に見聞きするようにもなった。
「万人に好かれないのが当たり前です。何事も完璧はありません」そう答えるのは、登録者数6万人「Earthおばあちゃんねる」の人気シニアYouTuber・多良美智子さん。
苦労を苦労と思わず、「今を楽しむ」をモットーに生きる多良さんの人生87年分の知恵から、人間関係の秘訣を聞いた。
※本稿は、多良美智子著『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
人間関係の秘訣は「深入りしすぎない」
小さい頃は、母の後ろに隠れて、挨拶もできないくらい内気でした。いまだに人見知りです。
人の輪の中では話せるのですが、自分から話題を提供するというのはできません。いつも聞き役です。
でも、人は大好きなのです。仲が良くなった人は大事にしています。習い事など多くのところに顔を出しているので、お友達は多い方だと思います。ただ、広く浅く。
いつも一緒にいる、という人はいません。その時々、その場所で会って、楽しい時間を過ごせれば満足です。
そして、解散して家に帰ったら、ひとりの時間を楽しむ。
基本が単独行動なので、そんなペースがちょうどいいのです。
私も踏み込まれたくないから、人に対して踏み込むこともしません。深入りしすぎないのが、気持ち良いお付き合いが長く続く秘訣かと思います。
1対1はあまりなく、習い事先などのグループでのお付き合いが多いです。
習い事では気の合う人たちに恵まれました。でも、それは自分がやりたくて行った先の場合。人に誘われ、それほど乗り気でなく行った先では、合わないこともありました。
自分が本当に好きなものだと、同好の士と話が合う、ということでしょう。
自分から積極的に話題を提供するのは苦手で、聞き役が多いですが、それは人の話を聞くのが大好きだから、ということもあります。
「自分以外の人はみな先生」対等な関係が若さをつくる
単独行動が基本のため、人に会うのはとても貴重な情報源の場です。人からいろいろなことを教えられてきました。
「自分以外の人はみな先生」と思っています。年齢は関係ありません。
同年代は少なくなってきましたので、今は、8歳下の妹世代の人と仲良くなることが多いです。年下ですが、みなさんしっかりしていて、学ぶことがいっぱいあります。先輩風を吹かすなんて、とんでもない。
人からすすめられたことは、すぐに試します。良いと思ったものはすぐ真似します。
若い人たちには、若い感性でいろいろ教えられています。年下の人たちから「美智子さんは若い」などと言われますが、「あなたたちが仲良くしてくれるから若くいられるのよ」と返します。
高校生の孫も先生です。時々、意見が合わなくて喧嘩することもありますが、YouTubeのこと、今の流行のことなど、私の知らないことをたくさん教えてくれます。
70歳以上、年の離れた孫ですが、子ども扱いはせず、対等な相手として付き合っています。