ロミオとジュリエットの愛は真実?
ロミオとジュリエット』は、永遠に語り継がれるラブロマンスです。不粋は承知で、この美しい話に水を差したいと思います。
ある心理学者が、2つの橋で実験を行いました。渡りきった橋のたもとに同じ一人の女性を立たせ、複数の男性に電話番号が書かれたメモを渡してもらうというものです。
橋は一つが深い峡谷にかかる足元の不安定な吊り橋で、もう一つは浅い小川にかけられた頑丈な橋です。すると、後日女性に電話をかけてきた人数の割合は、吊り橋を渡った被験者が約半数だったのに対して、頑丈な橋を渡った被験者はわずか12%でした。
人は誰でも、好きな人を前にすると胸がドキドキします。しかし実はこの胸の動悸は、スポーツの後や危険な吊り橋を渡りきったときの興奮と同じものなのです。
だから、同様の興奮状態のときに、たまたま異性がいると、そのドキドキを相手への思いと勘違いしてしまうのです。
ロミオとジュリエットは親に反対されたことで強い情動反応が起こり、この生理的興奮が相手を愛するゆえに生じたのものだと勘違いしてしまったとも解釈できます。
このように、感じている症状の原因を本来のものとは別のものに求めてしまう現象を錯誤帰属説と呼びます。
これは青年期に見られる傾向といえます。青年期は心臓や血管などの循環機能が未発達で、しかも性ホルモンの分泌も盛んになるので、性衝動も高まります。しかも、このような生理現象をいままで経験したことがないため、ドキドキの原因を誤解しがちになるわけです。
恋愛でいつもつまずく人とは
普通私たちは、進みたい道が行き止まりだったら別の道を見つけます。ところが私たちは、こと問題が人間関係になると、同じ行き止まりに立ちすくみ、途方にくれてしまいます。
恋愛が長続きしない人は、パターン化された失敗の構造を、失敗と思わないのです。それはどういう人なのでしょう。1つの恋愛が失敗したときにどう考えるかで、タイプがありそうです。ある結果を引き起こした原因をどのように解釈するか、これを心理学では原因の帰属といいます。それには内的帰属と外的帰属の2つがあります。
恋愛がダメになったときに「私がきれいじゃないから」「私の思いやりが足りなかったから」と自分自身に原因があると考えるのは内的帰属であり、「縁がなかった」「相手が悪い」などと自分以外の部分に原因を求める考え方を外的帰属といいます。
内的帰属な考え方をする人は自分を責めて落ち込むので、立ち直るまでに時間がかかりますが、その分失敗を繰り返さない可能性も高くなります。
一方、外的帰属思考の持ち主は失敗に対して反省がないので、すぐに気持ちを切り替えられます。アメリカの研究では、この外的帰属の人々の方が恋愛経験が多いという結果が出ています。つまり成長もないまま、同じことを繰り返しているのです。
といっても外的帰属な考え方がまるっきり悪いというわけではありません。ささいな意見の食い違いなどは、たまたま相手の機嫌が悪かったんだろうくらいに流した方が案外うまくいく場合もあります。