何を捨て、何を残すか「理想の生活」から逆算
さて、「お試し」で効果を実感したら、いよいよ本格的にモノを減らしていきましょう。そのためのロードマップ(上図参照)を掲げておきました。
ポイントは、理想の生活から「逆算」する(STEP1)こと。「もっとペットに良い環境を」「趣味のギターを楽しむ」「家族と過ごす時間を増やそう」など理想の生活を思い浮かべ、そのために何が必要か考えます。そうしたら、それ以外のものを順次捨てていけばいいのです。
捨てる順番は、ここも「所有コスト」の大きい順に取り組むのがいいでしょう。代表的なのは洋服です。洗濯をしてアイロンをかけ、畳んでタンスに、と服を所有することには大きな手間(コスト)が伴います。
1つ注意したいのは、どの服を処分するかは「他の服との相性」まで考えて決めるべし、ということ。持っている服をいったん広い場所にすべて並べたうえで、取捨選択していきましょう。上図のSTEP2「床を空けておく」ことの意味がここにあります。
また、どうしてもモノが減らないときは、ラックや棚などの収納器具から処分する手もあります。収納に余白があると、そこを埋めようと無駄なモノを残しがち、買いがちだからです。
それと、「所有コスト」の観点では、テレビも考えもの。ボーっと見続けてしまいがちですし、余計な配線、部屋の死角も増えてしまう。複数台お持ちの方には、メインの1台以外は手放すことを提案します。
モノを減らしたいなら「売る」「譲る」はNG
よくある「モノ減らし」先送りの原因は「売れるかも」「いつか使うかも」といった「捨てない言い訳」の数々です。
しかし、売れそうなモノと言っても、例えばメルカリで出品&発送する手間を考えてください。はたして時給はいくらでしょう? よほど高額で売れるモノ以外は割に合いません。潔く捨てるのが吉と言えます。
また、人に譲るというのもNGです。モノが安く豊富なこの現代、欲しいモノは誰でも自分で買って持っています。あなたにとって不要なモノは、他人もまず要らないと考えましょう。
何より、売ったりあげたりせずに捨てるからこそ「なんでこんなの買ったんだろ」と反省することができます。これこそ、再びモノを増やさないために最も役に立つ学びなのです。
【しぶ/澁谷直人】1995年生まれ、福岡県出身。2017年に開始した「ミニマリストしぶのブログ」を、開設1年で月間100万PVを超える人気ブログに成長させる。機能美を追求するアパレルブランド「less is_jp」監修。主な著書に『手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』(サンクチュアリ出版)などがある。
(『THE21』2022年10月号特集「人生が変わる『整理術』」より)