仕事もプライベートでも、悩みを解決した途端、また新たな悩みが出てくきた…という経験がある人は少なくないはず。生きている以上、様々な悩みやストレスと直面しますが、私たちはどのように向き合えっていけば良いのでしょうか?
「剛健」を合言葉に強い「ますらお」を目指して、過酷な訓練生活を送った経験を持つ元幹部自衛官のぱやぱやくんが、ストレスを乗り越え自分らしい生き方を送るコツを紹介します。
※本稿は、ぱやぱやくん著『弱さを抱きしめて、生きていく。』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。
自分が生きやすい道を選択する
私は防大幹部自衛官というコースを歩んでいたので「出世こそが全て」「誰よりも強くなろう」と考えていた時期もありました。
しかし、私は出世コースをドロップアウトし、現在のしがない物書きに至っています。そして、現在人生を立て直し中です。
私の自衛隊時代の同期の中にはとんとん拍子で出世し、マイホームと幸せな家庭を築き、将来を有望視されている人もいます。そうした話を聞くと「自衛隊はいいなぁ」と思うこともありますが、それはあくまでも一面的な話です。
自衛隊にいる同期の話の中には「上司との関係が苦しい」「激務」「単身赴任ばかりで家に帰れない」などの苦労も多くあり、「大変そうだな...」と思えることも非常に多いのです。
結局のところ、出世をしたり、強くなったからといって人生の問題が全て解決するわけではなく、違う問題(さらに難しくなっている可能性もある問題)に直面するのです。
そう考えた時に私は「強いからえらい」「出世しているから優れている」と考えなくなりました。
かつては、強くなれない自分に怒りが湧くこともありましたが、「強い人は強い」「出世している人は出世している」、ただそれだけの事実に過ぎないのです。
少なくとも私は能力的に「組織で出世はできない」「強くはなれない」と身に染みてわかったので、そういった土俵で戦うことをやめました。
そうすると周りを見ても「自分とは違う世界で戦っている人たち」と思えるので、特にうらやむことも嫉妬することもなくなりました。「強くなる」ことを考えるよりも、「自分が生きやすい道」を選択するほうがいいのではないかと思ったのです。
疲れている時は「エポケー」してみる
人は誰しも悩みがあるものです。ただ全ての悩みを解決する必要はないと思います。筆記試験では「簡単な問題を先に解く、わからない問題は後回し」というセオリーがあるように、人生の悩みも「簡単な悩みから解く」が正解だと思います。
特に「自分はどうして生きているのだろうか?」「自分の使命は?」という難問はすぐには答えを出すことができません。
こうした難問でつまずくよりも、わからない問題はスキップして「どうしたらカバンの中が綺麗になるのか?」ぐらいの悩みから手をつけたほうがいいでしょう。
また、悩みを解決すると違う悩みが出てくるものです。ありとあらゆる問題を解決しても、生きている以上は「老化と死」という悩みからは逃れられません。なので、結局は悩みと付き合っていく必要があると私は思います。
哲学用語で、判断を保留することは「エポケー」と言います。疲れている時や、難題にぶつかった時は一旦エポケーして、時間と余裕がある時に再チャレンジするぐらいがちょうどいいのではないでしょうか。
筆記試験で合格点が決まっているように、人生も合格点を点ぐらいにすれば「わからない問題はそのままでいい」という考え方を持てるので、うまく悩みと付き合えるようになりますよ。