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「志望動機が弱い」と言われるのは何故? 自己分析の質が変わる2つの準備

新井翔太(NINJAPAN(株) 代表取締役社長、Abuild就活創設者)

2023年02月23日 公開

 

思考を突き詰め「原動力」を探る

自己発掘は、全体(自己認識全般)と部分(各時期)における関係性が分かるようになることが目的です。自分の人生全体と特定の時期を往来することで、より深く自分を知ることができます。手順は、以下の通りです。

網羅的にテーマを設定し、具体的事象 → 理由 → 洞察 → 影響 → 獲得能力を順番に書いていきます。

テーマと照らし合わせ、過去に起こった出来事について、その理由を掘り下げていきます。テーマとは価値観、情熱や能力についてです。たとえば「誇らしかったこと」「自分が嫌になったこと」など、人生に影響を与えうる題目です。

そして自分自身のコアな傾向を知るために、理由の理由である洞察を行います。

この場合の洞察は、マーケティングにおけるインサイトと近しい概念です。インサイトとは消費者の購買行動の根底にある潜在的な動機のことです。時には本人も気がついていないこともあるのです。

マーケターは消費者アンケートの表面的な回答から、消費者の奥底にあるインサイトを発掘します。同様にして、就活では自分の心の奥底にあるインサイトを発掘しなくてはなりません。

思考を突き詰め、人を真に突き動かしているドライブ要因を探っていくことが洞察です。そして具体的事象、理由、洞察を経て、どのように影響を受けたのかを捉え直します。過去と現在を繫ぐ過程で、自分の人生にどのような影響が見られるかを解釈していきます。

影響を認識した上で、どのような力や何を得たのかを捉え直していきます。獲得能力としてどういったものがあるのか、たとえばハードスキル、ソフトスキル、マインド、その他の得たものなどを探っていきます。

テーマ設定 → 具体的事象 → 理由 → 洞察 → 影響 → 獲得能力 といった一連の分析によって、自己発掘を進めていきます。

 

人生は自己決定の連続である

シェイクスピアの『ハムレット』の作中に、"Life is a series of choices."(人生は選択の連続である)という有名な一節があります。

選択するということは、自分の中で決定をしているとも言い換えられます。細かい決定も含めれば、1日に何千、何万と決定をしています。

就活時期は人生における1つの大きな自己決定期間です。「人生の大きな選択だからすぐに決められない」と、ずるずると何も決められない人が一定数います。

ここで、マインドセットとして留意しておいてほしいことがあります。あくまでも現時点の決定でよいということです。現時点で最大限考え抜いたベターを決定することです。そしてベターを更新し続ける意識を持つことです。

人生の方向性は往々にして変わるものですし、可変的であっていいのです。成長した結果、言っていたことが1年前と丸っきり変わっていてもいいのです。

むしろ、流動性を担保できる状態が望ましいのです。つまらない体裁や意地でサンクコストを損切りできず、状態を固定化するほうがリスクですから。

志望業界や志望企業が就活を通して変わることもありますし、もっと言えば人生で成し遂げたいことも変わっていくと思います。

変わっていくというよりは奥底にある欲求が発掘され、顕在意識に浮き上がってきます。だからこそ自己決定を行うのです。常に決定をしていき、自分の人生を自身でコントロールするべきなのです。

自己決定とは、将来をイメージして己の進む道を決定することに他なりません。自己発掘によって深堀りしたものを再度見直せば、自身の傾向や軌跡が浮き上がってきます。この材料を活かし、自身が将来どうなりたいか、どうしていきたいのかを決定するわけです。

自己決定が終われば、就活における「中身」の準備はほとんど終わったと言っても過言ではありません。"現時点での"人生の目標を決めたことになるからです。

 

Will、Can、Mustで働き方を想像しよう

Will、Can、Mustというフレームワークがあります。就活でのアピールはこの3つに集約されるという見方もできます。これら3つのベン図の被るところがあなたに合うであろう企業です。

・自分が将来どうなりたいのか、何がしたいのかの「Will」。
・自分はどんな能力があるのか、何が得意なのかの「Can」。
・周りから期待されていること、求められること、やるべきことは何なのかという「Must」。

Will、Can、Mustは、人材開発等でよく使われるフレームワークですが、いきなり満足に埋めることは難しいものです。ですが、自己決定がしっかりとできていれば、納得感を持ってWill、Can、Mustを作成することができます。

20代、30代、40代、50代、60代それぞれでの時点で、考えられる最高の姿をイメージしてみましょう。どうなりたいか、どんな働き方をしたいかを想像してみましょう。

具体的に思い描くことができれば、どう実現していけるかを考えることができます。理想の姿から逆算して、実現のための道筋を描く契機になります。

そして理想と現状の乖離をどういうステップで埋めていくかを考えます。具体的にどうすれば達成できるかを、行動ベースでマイルストーン化していきます。タスクマネジメント、タイムマネジメントの考え方を応用して目標達成に向けて計画します。

また、自分自身の将来をイメージして、上記を一連のストーリーとして文章化することも効果的です。ポイントは絶好調なときの自分自身を想像して書くことです。

将来を明文化、言語化することで、理想の状態を自分自身に落とし込むことができ、理想の未来を描いた上で、そこにどう立ち向かうかを考えていくことができるからです。

人生の勝者になった自分を想像するのです。そうすることによって、自分自身の「手の届きうる」「理想の未来」が見えてきます。

 

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