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やる気のない「婦人服販売の学生バイト」がトップの成績を残した理由

山田和裕(株式会社フリクレア代表取締役)

2023年03月24日 公開

 

継続的なビジネスは人間関係につきる

一方で、「できない営業」は、こういった相談ごとに関する感度が低いです。断りはしなくても、めんどうくさそうにします。あるいは、その場では調子よく安請け合いしますが対応が遅いです。平気でそのまま放っておいてスルーします。

口だけで約束したことを守らない営業は最も嫌われます。これは営業の失敗要因です。

一見仕事にはつながりそうもないことでも、顧客から相談されたことには柔軟に対応することをおすすめします。ビジネスとは関係ないことを頼まれるのは、期待されていることの証です。ビジネスチャンスを与えてくれているのです。

遠回りに見えるかもしれません。必ずしもすぐリターンが返ってくることばかりではありません。無駄な作業で終わることもあります。

しかし、継続的なビジネスは人間関係につきるので、回りまわってビジネスに返ってくる可能性も考えている以上に高いのです。少なくとも、お手伝いしながら接点を増やし、関係構築に努めることができます。

大手航空会社J社を担当していたITソリューション会社の営業Sさんの話です。中国ビジネス強化を目指していたその顧客から、「影響力のある中国人経営者に講演を頼みたいのだが、何とかしてくれないか?」と頼まれたそうです。

自社のビジネスとはまったく関係ありませんでしたが、つてがあったので快く受け入れ、中国進出セミナーの講演者紹介に協力しました。

後日連絡があり訪問したところ「以前提案してもらったITツールの件、担当部署に通しておいたから、具体的なことはそこと詰めて」と案件を紹介されました。

一度提案をしたことはありましたが、正直言ってそれほど芳しい反応があったわけではありません。ところが、話はトントンと進みパイロットプロジェクトを無事受注!

(実は講演者の紹介を依頼してきた人は、社内でヒット商品を発掘し続けていた影響力のあるキーマンだったことが、プロジェクトを進める中でわかりました)

取引先によっては、こういった"ビジネス的な配慮"をお返ししてくれることもあります。変に見返りを期待してはいけませんが、思いがけず嬉しいお返しがあることもあるのです。

相談をきっかけに大きな成果が生まれた事例を紹介しましたが、営業ではストレートな効率ばかり求めず、急がば回れでうまく行くこともあるのが奥深いところです。

【山田 和裕 (やまだ かずひろ)】
株式会社フリクレア代表取締役。プロセスコンサルティングの第一人者。
総合商社丸紅での船舶ファイナンスからIT業界へ転身。「プロセス見える化」と「プロセス評価」を連携させた"プロセス主義(R)"を提唱。特に営業の見える化を得意とし、業種・業界にとらわれず、100社以上の大手・中堅企業のプロセス改善・営業強化に貢献。

1000人以上のトップセールスに行ったヒアリングと分析をもとに、「できる社員」の勝ちパターン = 成功特性を標準化して「見える化ツール」にまとめる独自の"3次元プロセス分析法(R)"を開発。著書に『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)などがある。 

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